第22話 クラン戦

「バーテッククスチート野郎とジェノサイドのクラン戦を行う。準備は良いかな」


 スライムの平原でアクアが仕切る。


「ああ、いいぜ」


 ジェノサイドのクランマスターが了承した。


「こっちも、オッケー」


「では始めたまえ」


『クラン戦を始めます。よろしいですか?』


 了承からの先手必勝。


「【Pythonパイソン 自動攻撃.py】」


 ふはは、四方八方に火球が飛んで行く。

 まるで俺が花火の中心のようだ。


「くっ、弾幕が凄すぎて近づけない」

「作戦変更だ。固まれ。スクラム組んで突破するぞ」


 皮をむくように、ひとりまたひとりと、盾役が光になって消えていく。

 俺は突進されたら詰みなので、距離を保ちながら逃げる。

 そしてジェノサイドは誰もいなくなった。


「やはり君はチートだよ。君とは友人になれそうにない」

「俺は、火の粉を払っただけだ」

「そのチートを捨てる気はないのか。そうなれば守ってやる」

「他人に守られて生きるのはまっぴらだ」


 ジェノサイドの固有武器を山と積み眺める。


『クラン戦みてた。ひとりだけのクランで勝利。映画だな』

『だがシナリオは酷い。一撃で終りだからな』

『バーテックスチャンネルのそこがいい。ジェノサイドがティッシュ並みだからな』

『俺もジェノサイドには恨みがあるから、とりあえずは喜びたい』

『バーテックスさんみたいに、どうやったらなれますか』

『チートスキルを獲得したいなら。初日ボーナス第2弾を待つんだな』

『ここまでやってのキャラリセットはつらい』


「よし消えるよ」


『10』

『9』

『蜂』

『ナナバ』

『ろくろくび』

『ゴーゴー』

『ヨン様』

『三頭筋』

『ニンフ』

『いちご』

『Oっぱい』


「はい消えた」


『おっぱいワラタ』

『あー、俺の固有武器がぁ』

『くそっ』

『カウントダウン、みんなノリがいいな』

『お疲れ』

『ジェノサイドの悲鳴で飯が美味い』


 掲示板を見るとお祭りだった。

 ジェノサイドは解散するようだった。

 あれぐらいで心が折れるのかな。

 俺もPythonパイソンスキルが消えたら心が折れるかも知れん。


『おめでと、それとお疲れ』


 向日葵からメッセージが届いた。


『おめでとう。また、一緒に冒険しようよ』


 ローリンからも。


『おい、クラン戦なんかしている暇があったら、新しい魔道具作れ。まあなんだ、おめでと』


 マクスダクトからも来た。

 みんなにありがとうとメッセージを返した。


 新しい魔道具ね。

 名前隠蔽みたいなのはいいな。

 付与魔法で作るべきだな。

 付与魔法の呪文が知りたいな。


 だけどレベル1じゃ大したことは出来ないんだよな。

 掛けられる付与は1種類って枷がなければ、良かったのに。

 とりあえずレベル1で作ろう。

 図書館でレベル1の付与魔法を調べた。


 攻撃力と知識力と守備力と器用さと俊敏さを上げるのがレベル1で出来るらしい。

 レベルを上げると全部上げたり、体力や魔力を上げたりも出来るらしいが俺には関係ない。


while 1: # 無限ループ

  print("【われは内包する、魔法規則。かの者は自分。もし付与魔法が掛かって無ければ、攻撃力付与の命令をレベル1の付与魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。かの者を魔法情報にありしもので付与せよ。攻撃力付与】")


 こんな感じで5種類作った。


「また売れん物を作って。切れ目なくレベル1付与が掛かる魔道具なんて初心者しか使えない」


 マクスダクトの評価は厳しい。


「付与って1種類しか掛からないのが悪い。なんで重ね掛けできないんだよ」

「仕様に文句言っても仕方ないだろう。改善案なら運営にメールしろ。仕方ないアイデアをくれてやろう。消えない灯りとかどうだ。最近、真っ暗なダンジョンが見つかったらしい。灯りの魔道具を欲しがっている」


 灯りか。


「じゃあ調べて作るよ」

「100個でいいからな。攻略組なんてそれぐらいだ」


while 1: # 無限ループ

  print("【われは内包する、魔法規則。もし光魔法が掛かって無ければ、灯りの命令をレベル1の光魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを維持せよ。灯り】")


 作ってみた。

 レベル1の光魔法は暗い。

 だが、10個も束ねればそれなりの明るさになる。

 ローテク万歳。

 魔道具松明と呼ばれる物ができ上がった。


 100個のこれを作るのに1000個の魔道具が必要だった。

 結局1000個作るのね。

 儲かったからいいか。

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