第21話 自動攻撃

 ええと、まずは地形データだ。

 ユーザーの名前のフォルダを調べに、『c:/Users/』を調べた。

 とうぜん俺の名前も向日葵の名前もある。

 物凄い数があったから、全プレイヤーなのだと思う。

 で『c:/』には何があるか調べた。

 『地上世界』や『天上世界』などの世界があった。

 そして『c:/地上世界/』には各フィールドの情報があった。


 『c:/地上世界/』以下にフィールドの情報がある。

 地上世界┐

     ファストの街

     スライムの平原┐

            バーテックス.lnk

            向日葵.lnk

            スライム1.lnk

            スライム2.lnk

            スライム3.lnk

            スライム4.lnk

     ホーンラビットの草原


 こんな感じになっている。

 バーテックスのリンクはユーザーの中に繋がっていると思われる。

 スライムみたいなモンスターもユーザーになっていた。


 さて、このデータをまずは取得。

 一人ずつ切り出して、そいつに攻撃。

 ええと、攻撃に自分も含まれてしまう。

 駄目じゃん。

 味方リストを作って、味方に攻撃しないようにしないと。


 で一応切り出した名前がユーザーに含まれるか調べる。

 あとは攻撃部分を作れば良いだけか。

 簡単に済んだな。


 問題は味方以外は同じフィールドにいると、全て攻撃してしまうことだ。

 PKとやる時に他のプレイヤーを巻き込んだらどうしよう。


 バーテックスの悪名がさらに轟くな。

 赤アイコンになってしまう覚悟もいる。

 仕方ない。

 決闘を申し込むか。

 ジェノサイドが受けるかどうか分からないが、そうするしかないな。

 決闘なら赤アイコンになることもない。

 決闘の賭けとして全アイテムってしとけばPKの固有武器も奪えるだろう。


 後はどうやって場を整えるかだ。


『向日葵、PKとやる準備は整った』

『私の手伝いはいる?』

『それで戦いは決闘にしたい。どうすれば良いと思う』

『第三者が必要ね。自治クランに頼めばいいんじゃない』


 自治クランは知っている。

 掲示板に名前がたびたび載ってた。

 連続してPKに遭うような嫌がらせとか受けた場合、相談すると護衛とかしてくれるらしい。

 喧嘩の仲裁とかもする。

 警察のようなクランだ。


 そう言えばPKから奪った他の人の固有武器があるんだよな。

 返してやりたい。

 これも自治クランに頼めないかな。


 行った自治クランのホームは大豪邸だった。

 大手のクランなのがそこからも分かる。

 俺は名前隠蔽を解いて、屋敷の中に入った。


「クランマスターに会いたい。俺の名前を告げればたぶん会おうと言うはずだ」

「バ、バーテックス。チート野郎が何の用だ?」

「下っ端に用はない。固有武器を賭けて決闘したいなら別だが」

「くっ、いま聞く」


 メッセージを送ったのだろう。


「会うそうだ。ついてこい」


 案内されてクランマスターの部屋に入る。

 そこは、水槽があってまるで水族館のようだった。


「アクアだ。バーテックス君」


 アクアは中性的な女性だった。

 女性だよな。

 俺はほとんど外観を元の姿から弄ってないが、この人はどうだろう。

 まあ今は関係ないな。


「ジェノサイドと決着をつけたい。仲介してほしい」

「ふむ、我々の利点は? 正直言って我々は君に対して快く思っていない」

「PKが持っていた他人の固有武器は自治クランが返すといいだろう。名声が高まるぞ」

「なるほど。勝つ前提か。チートを使えば負けないのだろうね」

「ジェノサイドとは全アイテムを賭けた決闘としたい」


「いいだろう。ところで君のチートのループだが、どうやって手に入れた?」

「信じるか分からないが、初日のボーナスである物をスキャンしてスキルにした」

「ある物は明かせないか。たしかに初日ボーナスの第2弾をやれば大変なことになるからね」


 他の人の固有武器をアクアに託した。

 そして、ユグドラトレントの枝もつけた。


「寄付をありがとう。少しだけ君の評価が上がったよ。治安を乱すようなことはこれからは避けてくれたまえ」

「言われなくてもマナー違反はしないさ」


「珍しい魚を手に入れたら、絶対に持って来るのだよ。絶対だ」

「魚を飼うのが趣味なのか?」

「リアルのアパートは狭くてね。大きい水槽は置けないのだよ」


「スライムも入っているけど」

「水スライムかい。彼は良い奴だ。水質の浄化をしてくれる」

「じゃあ、変わった水の生き物が手に入ったら持って来るよ」

「絶対にだよ」


 魚の何が面白いのかな。

 俺はだんぜん猫派だ。

 アパートはペット不可だから飼えない。

 そうだホームに猫を放そう。

 ネズミとか退治してくれるはずだ。


――――――――――――――――――――――――

 自動攻撃.pyです。

 見なくても支障はありません。


import glob # 機能を追加


def friendck(name) : # 味方判別関数

  friendlist = ["バーテックス","向日葵","マクスダクト","ローリン","アイ"] # 味方のリスト

  for frienddata in friendlist : # 味方のリストから切り出し

    if frienddata==name: # 味方かどうか判別

      return True # 味方

  return False # 敵


def usersck(name) :

  users = glob.glob("c:/Users/"+name) # 生き物の情報を得る

  if len(users)==1:

    return True # 生き物

  return False # 生き物ではない


path=input("攻撃する場所を入れて下さい") # 攻撃する場所の指定

while 1 : # 無限ループ

  datalist = glob.glob("c:/地上世界/"+path+"/*.lnk") # その場所の情報を得る

  for data in datalist: # 物の名前をひとつずつ切り出す

    data=data[len(path):] # 名前切り出し

    if ".lnk" in data : # lnk以外拡張子排除

      data=data.replace('.lnk', '') # 拡張子の削除

      if not friendck(data) : # 敵の場合

        if usersck(data) : # 生き物か判別

          print("【われは内包する、魔法規則。火球生成の命令をレベル1の火魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを",data,"に向かって飛ばせ。火球】")

          for i in range(0,10,1): # 10回ループ

            print("【われは内包する、魔法規則。かの者は自分。魔力吸収の命令をレベル1の吸魔魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にかの者の名前を渡せ。極小吸魔】")

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