第15話 プロになるために

 エリアが切り替わったようだ。

 敵モンスターにスケルトンとゴーストがいる。


 ゴーストは魔法使わないと倒せないのだろう。

 ローリンは運が良かった。

 ここまで来たら死んで固有武器を失っていた所だ。


「【剣術、回転斬り】」


 ローリンが特攻して行って回転斬りをする。

 ゴースト以外は倒せたが、ゴーストに集られてどんどん体力が減っていく。


「【Pythonパイソン 火球10倍速.py】」


 俺の魔法に当たってゴーストが消える。


 ローリンが邪魔で撃てないな。


「ローリン邪魔。ハウス」


 向日葵が容赦なく言った。


「【剣術、回転斬り】」


 回転しながらローリンが戻る。

 うおっ、危ないな。


「今のうちに。【Pythonパイソン 火球10倍速.py】」

「やっと出番ね。【われは内包する、魔法規則。水弾百撃生成の命令をレベル20の水魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしもの分裂飛ばせ。百裂水弾】


 俺と向日葵の魔法がゴーストを蹴散らした。

 うーん、誘導弾が欲しいな。

 そうすれば、ローリンが特攻しても敵だけに当てられる。


 そう言えばプロゲーマーとかどうやったらなれるんだ。

 ゴールが分からないことには努力のしようもない。


「プロゲーマーになりたいんだけど?」

「ええっ、エンジョイ勢じゃなかったの」

「違うよ」


「1週間もスキルの探求してたんでしょ」

「あはは、私よりスキルの探求マニアがいた」


「あれは必要なことだったんだ。レイドボスもそれで倒せたようなもんだ」


 中途半端に強かったら、隠れるなんてことをしないで、攻撃を仕掛けていただろう。

 そうしたら、石碑も読まなかっただろうし。


「真剣みたいだから笑っちゃ悪いよ」

「めんご」


「でプロになるための道は?」

「宣言したら、明日からプロだよ。ただそれで食べてないと自称だけど」

「このゲームでプロになるなら、攻略記事やゲーム配信するとかじゃないかな」


 うんうん、配信なんかできるわけない。

 チート野郎と言われて敵意を煽るだけだ。


 攻略なんかガチ勢がはるか遠くに行っている。

 検証組にもなれない。


「どれもできそうにない」

「バーテックスの魔道具は今のところ売れているんでしょ。じゃあゲーム内通貨を稼いでリアル通貨に換金したら」

「それだ」


「チート配信ってありじゃないのかな。すぐに飽きられるかもだけど、モンスターの蹂躙映像はスカッとするかも」


 ローリンがそうアドバイスをくれた。


「ほうほう、なるほど。みんなが苦労している敵をサクッと倒すんだな。チートを逆手に取る。いいかもな」


 じゃあ、今から映像を録画してみるか。

 設定パネルを開く、向日葵と、ローリンをモザイクして誰か分からないようにする。


「録画オン」


 録画の赤い丸と『REC』の文字が表示された。


「あー、チート野郎のバーテックスの配信始まるよ。ファストとセカドの間の道、中ボスを倒して少し行った所」

「はーい、チート野郎の助手です」

「助手2です」


「言っておくが、彼女達はチートじゃないからな」


 よし、モンスターの一団が現れた。


「【Pythonパイソン 無限投擲.py】。はははっ、小石がマシンガンのようだ」


 小石を食らってまずスケルトンが粉々になった。


「ひやっほい。次の得物はウッドゴーレム」


 ウッドゴーレムに小石による投擲で穴が開く。


「うん楽勝だ。ゴーストは魔法でないと駄目だから、【Pythonパイソン 火球100倍速.py】」


 うん、百倍速の火球はもはやレーザーだ。

 軌跡しか見えない。


「気になっていると思う俺のチートはループ。違法じゃないよ公式チートだ」


「討伐が早すぎて、ドロップ品拾うのが忙しい」

「ドロップ品が蟻のようだ」


「【Pythonパイソン 無限投擲.py】、乱れ打ち。ふはは、モンスターが豆腐のようだ。柔い柔いぞ。もっと歯ごたえのある奴はいないのか」


 文字通り無双しながら進む。


 そして、森を抜け、街が見えたところで録画を辞めた。


「あんなので良いのかな」

「ボロ屑みたいにモンスターに穴が開いたからそれなりに爽快感はあると思う」

「チャンネル開設したら、メール頂戴」

「ああ、メール送るよ」


 さて、セカドの街はどんなだろう。

 新しい出会いとかあるといいな。

 果たして配信は気に入られるか。

 まあ、なかなか人気は出ないと思うからゆっくりいこう。

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