第10話 魔力無限回復

 マクスダクトと会っておかないとな。


「よう」

「お前、バーテックス。いや名前が違うな。ああ、隠蔽魔法か。【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にいる者。名前鑑定の命令をレベル10の鑑定魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。かの者を魔法情報にありしもので鑑定せよ。名前鑑定】。ありゃ、ほんの一瞬ちらっと何か見えた。どういうことだ」

「無限に隠蔽魔法が掛かっている」

「それがお前のチートの正体か。無限スキルなんてものがあったとはな」

「まあ似たようなもんだ」

「魔力が無限に回復する魔道具を作ってみた」


while 1 : # 無限ループ

  print("【われは内包する、魔法規則。かの者は自分。魔力吸収の命令をレベル1の吸魔魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にかの者の名前を渡せ。極小吸魔】")


 魔道具のプログラムはこんなだ。


「運営がそんな魔道具をよく許可したな。貸してみろ」


 マクスダクトが魔道具を使う。

 魔道具は一瞬で光になって消える。


「壊れたのか。俺が使った時にはそんなに早く壊れなかったぞ」

「考えるに運営の対策だな。お前のスキルはお前だけのもの」

「そうか」


 マクスダクトがステータスを確認する。


「回復量は11MPだな。これを売った場合、同性能のマナポーションと同じぐらいの価格設定になるな」

「大儲けだと思ったのに」

「俺はこっちの方がいい。マナポーションの味は良くないからな」

「味っていうアドバンテージだけか。まあそれでも売れないよりはましなんだろうな」

「1000個よろしく」

「任された」


 こうなると魔力回復付きの攻撃魔道具はきっとすぐに壊れるな。

 なかなか難しい。

 土魔法を覚えられる魔道具を開発するか。


 行き詰ってはいないが道具屋に行ってみよう。

 何かヒントを貰えるかもしれない。


「レクチャーを受けにきた」

「弟子よ。あまり久しぶりだと破門にするぞ」


「気をつけるよ。じゃあ今日は2回分で頼む」

「種火の魔道具は作ったか?」

「作った」


「優秀だな。水筒の魔道具は?」

「作った」


「感心なことだ。塩生成の魔道具は?」

「それは作ったことがないな」


「では教える。【われは内包する、魔法規則。塩生成の命令をレベル1の土魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを生成せよ。塩生成】。この魔法を魔道具にせよ」

「ありがと」


「風跳躍の魔道具はどうだ?」

「それもないな」

「【われは内包する、魔法規則。突風の命令をレベル1の風魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にありしものを実現せよ。風跳躍】。この魔法を魔道具にせよ」

「うん、今回はためになった」

「では、精進せよ」


 塩生成は何気にいいな。

 だが無限生産すると恨みを買いそうだ。

 いらん恨みは買わないのに限る。


 塩生成はぴんときた。

 スライムに魔道具で塩を作って掛けるんじゃないか。

 スライムをじっとさせるには網が要るな。

 虫取り網を売ってたので買う。

 草原にいき、スライムを網で捕まえた。

 それに魔道具塩を作りしつこく掛ける。


 何匹かそれで討伐すると。


『土魔法スキルを獲得しましたが、全属性魔法スキルがあるので無効化されます』


 とメッセージが。


 やった、魔道具屋は親切だな。

 魔法の獲得方法を教えてくれるのか。

 塩生成の魔道具も1000個作っておこう。


 風跳躍をやってみた。

 下からぶわっと風が吹いて少し浮かび上がった気分だ。

 レベルが高ければもっと高く飛べるんだろうな。

 高くか。

 そうか。

 俺は風跳躍の魔道具を作って、ピョンピョン跳ねるスライムを浮かした。

 そしてさらに高くする。

 かなり高くしたところで落とす。

 スライムは潰れて死んだ。


 これを繰り返すと。


『風魔法スキルを獲得しましたが、全属性魔法スキルがあるので無効化されます』


 とメッセージが。

 やった。

 4大属性の獲得の仕方コンプリート。


 この魔道具も1000個作っておこう。

 吸魔の魔道具と合わせて、マクスダクトに納品した。


 そして、マクスダクトからメールが届いた。

 吸魔の魔道具を使ったら、吸魔魔法を覚えたとの報告が。

 でも吸魔魔法ってレベルが低いうちはあまり使えないんだよな。

 後衛が覚えるには最適の魔法だけど。

 MPが切れた後衛ほど、手持ちぶたさなことはない。


 やることないなら、MPの回復に努めるしかないからな。

 そんな時にぴったりだ。

 掲示板で知ったが、ショートカット登録すれば、一動作で魔法が自動発動する。

 疲れないなら、回復待ちの間、ずっと吸魔魔法を唱えとくのもありだろう。

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