第2話 スキル判明

 とりあえず、住む所を抑えよう。

 まだみんな不動産屋には行ってないだろうから良い物件があるに違いない。


 不動産屋に行くと、外に色々と物件の張り紙がある。

 くそっ、大金貨1枚かよ。

 銅貨1枚が1ソルで。

 銅貨10枚が大銅貨1枚で、10ソル。

 大銅貨10枚が銀貨1枚で、100ソル。

 銀貨10枚が大銀貨1枚で、1000ソル。

 大銀貨10枚が金貨1枚で、10000ソル。

 金貨10枚が大金貨1枚で、100000ソル。


 買い家は大金貨1枚の10万ソルからが相場らしい。

 俺は積み重ねられて貼られた張り紙の下の方に、0ソルという文字を見つけた。


 やった掘り出し物だ。

 俺はそれを剥がす。


 不動産屋に入ると、ドアベルがチリンと鳴った。


「いらっしゃい」


 店員は俺の持っている紙に目をやるとにっこり微笑んだ。


「その物件はお買い得ですよ。なんせただですから」

「買います」


 ピコンとウインドウがでた。

 毎月の固定資産税が大銀貨1枚1000ソルとある。

 まあいい。

 賃貸していると思えば。

 今月の税金はまだ1ヶ月後だ。


 マップを見るとアイコンが出てる。

 そこが買った家らしい。

 その家目指して、歩く。

 道は大通りから外れ、裏道の、そのまた裏道に入りどんどんと寂れて行く。

 ここは俗に言うスラムという奴じゃないか。

 まあ良い。

 ただで手に入ったのだから。


 そして買った家に辿り着いた。


『ホームとして登録しますか?』

「はい」


 中に入ると、埃とネズミ。

 天井には大きな穴が。

 実際にここに寝るわけじゃないし構うものか。


 さて、ここの改造は追々やるとして、

 これからどうしよう。

 ここで店をやるとしても売る物がない。


 物を作るにはスキルが要る。

 スキルを得る主な方法は4つ。


 道場や教室に通う。

 NPCに弟子入りする。

 秘伝書を読む。

 特定の行動をとるだ。


 特定の行動は運と情報頼み。

 有力な情報はクランで独占するのだろうな。


 特定の行動以外は、どれもゲーム内通貨が掛かる。

 課金してゲーム内通貨を買うという手もある。

 だけど、それじゃ負けた気分だ。


 それに会社を辞めてVRポッドを買ってしまった。

 貯金で暮らせるのは2ヶ月が限界だ。

 2ヶ月以内にプロゲーマーとしての道筋を作らないと。

 リアル、ゲーム内、双方とも無駄金は使えない。


 何を作って売ろう。

 まずはそれを決めないと。

 あー、ステータスを確認してなかった。

 詰みになってたから、慌ててたんだな。


「ステータスオープン」


 うひょ、出た出た。


――――――――――――――――――――――――

名前:バーテックス

レベル:1


体力:10/10

魔力:10/10


攻撃:10

知識:10

守備:10

器用:10

俊敏:10


スキル:

  全属性魔法

  Python

――――――――――――――――――――――――


 面白みのないステータスだな。

 ほとんど10じゃないか。

 これからどう行動するかで変わるんだよな

 あれっ、全属性魔法は良いけど、Pythonてなんだ。

 日本語表記なのに、なぜここだけ英語。

 パイソンだから蛇だよな。


 蛇使いのスキル。

 とにかくやってみるか。


「【Pythonパイソン】」


>>>


 ウインドウが出て『>>>』が表示された。

 えっとこれは何。

 蛇との会話かな。


>>> こんにちは


 決定と。


Traceback (most recent call last):

 File "<stdin>", line 1, in <module>

NameError: name 'こんにちは' is not defined


 うわ、ウインド内にたくさんメッセージが。

 『NameError』ってあるから名前が不味いんだよな。

 ええとスクショを撮って、このメッセージを検索してみるか。


 俺と同じスキルを持っている人もいるかもしれない。


「ダイブアウト」


 腹の上に硬い物が。

 ノートパソコンかよ。

 びっくりさせるな。

 誰だこんな物を持ち込んだのは。

 俺か。

 馬鹿なこと考えないで、さっそく調べるか。


 『Pythonパイソン』検索、決定と。


 ニシキヘビ、大蛇と。

 へぇ、神話からとられた名前なんだ。

 『Pythonパイソン NameError』検索と。


 『Pythonパイソン入門』、コンピューター言語。

 もしかしてこれか。

 一番最初の簡単な命令は?


print("こんにちは")


 これだな。


「ダイブイン」


 時間が惜しい。

 さっさとやるぞ。


「【Pythonパイソン】」


>>> print("こんにちは")


 決定と。


こんにちは


 やった、俺のスキルがなんなのか分かった。

 もしかして、あのノートパソコンにPythonパイソンがインストールされてたのかな。

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