四、蒙塵
新月昇りし夜の
野犬すら
「みな無事か」
寝殿より出でし二つの影の一つ、帝その人が、宦官と人士らを見渡し玉音を賜う。
玉音へ一様に
「気取られてはおらぬようだな」
一同驚きあたりを見れば、遠きに
「馬鹿な」
と息を
――疑おうておられるのか。
宦官は突如
明白である。宦官が、宦官だからである。賤しい下等種族だからである。
「やめよ」
人士らを
「ここにあるはみな義士ぞ」
と一言のもとに断ぜらる。
――ああ、このお方にこそ。
袖で目頭を押さえ、宦官は帝に身命を捧ぐ覚悟を新たにした。
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