第13話
◯ 7月22日火曜日 21:09
某地下駐車場
カクレキリシタン怨霊
「殺殺殺殺殺殺」
月夜
「神太郎くん……」
「どうしよう……」
神太郎
「……月夜」
「そこでぶっ倒れてるケイコと」
「帽子を持って」
「今すぐ逃げろ」
月夜
「え?」
神太郎
「この方達は」
「俺のご先祖様だ」
「墓で眠っているはずの彼らを」
「バケモノ退治のために俺が無理やり呼び起こしたんだ」
「一度ならず」
「二度も」
「三度も……」
月夜
「……」
神太郎
「──ブチギレるだろうよ」
「いくら可愛い子孫でも」
「限度っていうのはあるからな」
カクレキリシタン怨霊
「憤憤‼︎」
風切音
衝撃音
月夜
「神太郎くん⁉︎」
神太郎
「来いよ」
「ご先祖様……」
「怒りを」
「恨みを」
「憎しみを」
「ぶつけるなら」
「──俺にぶつけろ」
カクレキリシタン 怨霊
「殺殺殺殺殺‼︎」
神太郎
(──ざまぁねーな)
(神太郎)
(敬っていたはずの先祖に殺されるんだからよ)
円斎
「印乃嶺把徒離主干支不利醋尾利多数……」
神太郎
「⁉︎」
月夜
「え?」
「誰?」
円斎
「印乃嶺把徒離主干支不利醋尾利多数南無阿弥陀南無阿弥陀」
神太郎
「じいさん?」
円斎
「我が血の先祖たちや…」
「子孫の無礼」
「誠に誠に」
「忍びない」
「どうかどうか」
「容赦されたし」
カクレキリシタン怨霊
「殺殺殺殺殺殺」
神太郎
「じいさん⁉︎」
月夜
「危ない⁉︎」
破壊音
円斎
「……やれやれ」
「話してもわからんようじゃのぉ」
カクレキリシタン怨霊
「謎謎謎謎謎」
円斎
「なぜ体が動かないのかと聞きたいんじゃろう?」
「わしらはあんたらが死んでから200年先の未来人じゃ」
「怨霊を『足止め』する方法なら」
「10年前に開発され済みじゃ」
神太郎
「これは……」
月夜
「地面が光っている?」
カクレキリシタン怨霊
「何何何何何」
円斎
「──信じる者は救われる」
「仏教も」
「イエズス教も」
「同じ言葉を使っておる」
「ヴァチカンから取り寄せた対怨霊兵器」
「光学式祝福結界縄(サクリファイスバリア)」
「本当はご先祖様には使いたくなかったが……」
「孫の命には代えることはできぬ」
カクレキリシタン 怨霊
「止止止止止止止」
神太郎
「じいさん…」
円斎
「間に合ったようじゃの」
「月夜ちゃんも久しぶりじゃのぉ」
月夜
(誰?このおじいさん)
(私のことを知っている?)
ケイコ
「……」
円斎
「──お主」
「中条のところの長女じゃな」
エドワード
「……じじい」
「何者だ」
「ケイコのことを知っているのか?」
円斎
「ヴァチカンの総本山と違って」
「わしらカクレキリシタンは」
「お前ら悪魔は殲滅する思想は持っていない」
「お前らが悪さをするから懲らしめる」
「それだけじゃ」
エドワード
「なんだと?」
円斎
「帽子の会の長老はわしらカクレキリシタンとは懇意の仲じゃ」
「本来なら双方が争う立場ではない」
「──それなのに」
「どうしてこうも拗れた?」
ユナ
「──あのさ」
「おじいちゃん」
「こういうの良くないと思うよ?」
円斎
「……誰じゃ貴様」
ユナ
「せっかく2人が勝負してるのを水を差すのはさ」
「よくないと思うんだ」
「なんで止めるの?」
円斎
「……なるほど」
「事情はわかった」
「お前が絵を描いたのか」
ユナ
「あーあ」
「つまんない」
「あとちょっとでケイコちゃんも死んで」
「神太郎くんも死ぬと思ったのに」
エドワード
「な⁉︎」
「ユナ……⁉︎」
「お前……」
ケイコ
「……」
ユナ
「タイラくん」
「ごめんね」
「本当はさくってこの後死んでもらう予定だったんだけど」
「とんだおじゃま虫が入ったおかげで」
「計画がぱぁだ」
「想定よりも早いけど」
「やるしかないね」
トーマス
「ユナ⁉︎」
「何をするつもり」
指パッチン
ユナ
「おいでませー!」
「先輩方♡」
羽ばたき音
円斎
「な⁉︎」
月夜
「え⁉︎」
神太郎
「なんだ⁉︎」
「コウモリ⁉︎」
怪物コウモリ
「KAAAAAAA!!!」
孝一
「うわ⁉︎」
「なんて数だ‼︎」
「前が見えない⁉︎」
神太郎
「くそ⁉︎」
月夜
「きゃあああああああ‼︎」
神太郎
「月夜⁉︎」
円斎
「神太郎‼︎」
「月夜ちゃんから手を離すな‼︎」
月夜
(引っ張られる⁉︎)
(コウモリたちがあたしの体を持ち上げてる⁉︎)
神太郎
「やばい⁉︎」
「手が離れる……⁉︎」
円斎
「くそ!」
「やむを得ん⁉︎」
「オームヴァジュラアディパティト……」
ユナ
「あはははは」
「ごめんねみんな‼︎」
「月夜ちゃんはもらっていくね‼︎」
「学校はしばらく休むから」
「またLINEしまーす!」
「それじゃー!」
月夜
「神太郎くん‼︎」
神太郎
「月夜‼︎」
コウモリたちが去る音
神太郎
「──月夜が攫われた……」
タイラ
「ふっ」
「ユナのやつめ」
「最初から月夜ちゃが狙いだったのか……」
エドワード
「なぜだ……」
「なぜ裏切ったチャーリー……」
ケイコ
「……裏切っちゃいないわ」
エドワード
「ケイコ⁉︎」
ユナ
「最初からあの子は」
「私たちのことを」
「いや」
「誰も信じていなかった」
「私たちが勝手に」
「ユナが味方だと思い込んでただけよ」
「うぐっ」
エドワード
「ケイコ⁉︎」
「無理をするな⁉︎」
ケイコ
「──神太郎」
「悪いけどこの勝負」
「仕切り直しさせてもらうわよ」
神太郎
「──悪魔使い……」
「月夜をどこにやった⁉︎」
円斎
「やめろ神太郎‼︎」
「その娘も同じじゃ‼︎」
「お前同様」
「いっぱい食わされたのじゃ」
「あの小娘に……」
神太郎
「くそ……」
「ちきしょう……」
月夜
「……たろうくん」
神太郎
「⁉︎」
「月夜⁉︎」
孝一
「え?」
月夜
「──神太郎くん?」
「どうなってるの?」
神太郎
「月夜⁉︎」
「そこにいたのか⁉︎」
「みんな‼︎」
「月夜がいたぞ‼︎ー
孝一
「何も見えないぞ」
「どこ見てる神太郎」
神太郎
「は?」
「何言ってる孝一」
「ここにはっきりいるじゃねぇか」
円斎
「──すまぬ神太郎」
「これしか方法がなかったのじゃ」
神太郎
「え?」
月夜
「──どうしてあたし」
「浮いてるの?」
トーマス
「まさかこの娘」
「『幽霊』?」
円斎
「強制幽体離脱……」
「月夜の魂と肉体を分離させた……」
「期限は本日より30日間──」
「30日の間に」
「肉体を探さねば」
「月夜は死ぬ運命じゃ」
To be continued….
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます