ビタミンL
「初めまして。ナナミです」
「どうも。なんか腕赤くない?」
「酔うと身体に出ちゃうの」
「ソフドリ頼めば」
「良いの?」
「うん。俺友達に約束すっぽかされちゃってさ。暇してるだけなんだ」
友達ナイス。
オレンジジュースを頼んじゃう。
「お友達とは飲みの予定でした?」
「ナンパ。クラブでも何でも良いから女遊びしようって話だったのに連絡つかないんだよ。絶対寝てる」
ここまではっきり言われると逆に清々しい。
「華金なのに。男としてどう思うよ?かんぱーい」
「花より布団。情け無くも憎めない。かんぱーい」
果汁100%が染み渡る。
「ところで目玉焼きには何かける?」
「あたしはソース一択かな」
そんな感じで閉店時間まで話した。「楽しかったわ」と言って立ち上がった客を「本当かよ」と思いつつエレベーターまで見送る。
連絡先は聞かなかった。
この飄々としたナンパ師はあたしを指名しないだろう。それどころか明日には忘れてるかもしれない。
それでいい。それがいい。
縁があればまた会えると期待して別れよう。
「ありがとう。今まで飲んだオレンジジュースで一番美味しかった。ごちそうさまでした」
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