アクセサリーハンター


「いやーんもうどうしよう!」


 更衣室を開けるとアイナさんが子供みたいにぺったり座って泣いていた。


「ええっどうしたんですか?」

「おニューのピアスどっかいっちゃったの。服脱いだとき引っ掛かったみたいで飛んでっちゃったあ」

「うわまじか。アクセサリー無くすとまあ見つかんないですよね。しかもピアスか」


 一応一緒に探してあげるが望み薄な気がしてしまう。アクセサリーってたまに蒸発したとしか思えないような消え方をする。神隠し的と言うか。


「見つからなかったらショックでお仕事出来ないよう」

「とりあえずもっかい端から探しましょう」


 床に這いつくばり、ドレスラックを移動させ、靴置き場を探し、洋服を引っくり返した。無い。


「アイナさん、ピアス付けてなかったとかはないですか?」

「それはない。ピアスに合わせて服決めたから」


 狭い更衣室だ。普通に考えると見つからない方が不思議なくらいだが……無い。



 沈黙の中で真っ白にうな垂れるアイナさんを慰めようとブランケットを掛けてあげる、と。


「あ」

「なに」

「あはは! ありましたよ!」


 えええどこ! っと勢い良く右左見回す。


「ストップストップ! 髪に引っ掛かってます! 取りますから!」


 お嬢さまみたいなハーフアップの結び目に引っ掛かったキラキラを取ってあげる。


「ああーんイツカちゃんありがとう!」


 アイナさんに抱き締められ揺すられる。いい匂い。


「いえいえ。良かったです。こんなちっちゃいのフロアに落としてたらアウトでしたね」

「本当に良かったよお」



 アクセサリーは武器にも弱点にもなり得る。アイナさんは涙で滲んだメイクを直すとフル装備でフロアに繰り出した。心なしか後ろ姿は頼もしい。

 なんとなくひと狩り行こうぜ! と声を掛けると、えいえいおー! と元気よく返ってきた。元ネタは知らないようだ。アイナさんは可愛い。


 ~♪


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