流浪の嬢


「やっほ」


 ホノカさんだ! 忘れた頃にふらりと現れては数字を残して去って行く流離さすらいのキャバ嬢。


「お久しぶりです! 日焼けしましたね」

「三か月ぶりになっちゃった。リシケシが気に入っちゃってさ。北インドね」

「インドかあ。食べ物どうなんですか?」

「香辛料好きにはたまらないね。飲み水に気を付けるだけ」


 日本より海外に居る時間の方が長い人だ。


「次はどこ行くんですか?」

「カナダのイエローナイフ。オーロラ」

「オーロラ! 写メ送ってください!」

「あれってスマホじゃ写んないのよ。写真サービスいたら焼き増ししてあげる」

「嬉しい!」

「観れるように祈っててよ。運ゲーだからさ。去年フィンランドで撃沈した」

「いつ出発ですか? 祈祷します」

「あんたいつも愉快だね。安心するよ」



 その夜、友達営業で仲間に入れてもらったホノカさんの指名席はグローバルだった。英語や日本語やどこかの言語が飛び交いとても賑やかだ。

 ホノカさんは英語を話す時声がワントーン低くなる。私はディスイズアペンしか言えないけど、皆が伝えようとしている事は何となく分かる。


 "めっちゃ楽しい!" 


 間違いない。


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