ナナミ・アントワネット
「イツカさんおはようございます」
「うわ! すごいドレス!」
更衣室を開けるとそこは十八世紀だった。
豪華絢爛!ロココ風!
「オートクチュールです。レースと刺繍は職人の手作業です」
「すごいよこれ貴族の舞踏会みたいだよ」
ナナミさんはふふっと笑う。今夜は彼女のバースデーイベントだ。シャンパンタワーの予約があり気合いが入っている。
「綺麗だけどこれ普段使い出来ないね?」
「無理ですね。重くて肩凝るし、座れません」
「座れないってどういうこと?」
「刺繍が繊細だから体重かけられないんですよ。レースも潰れちゃうし。突っ立って着る事前提のワガママドレスです」
「すごいね。でも嫌いじゃないよそういうの。イヤなら着て貰わんで結構、みたいな」
「普通の生活してたら着れないスペシャルなドレスです。シャンパンタワー終わったらすぐ着替えます」
「その方がいいね。あっ赤ワイン気を付けてね」
「もうっ思い出させないでくださいよおっ」
上等なシャンパンにかこまれたナナミさんは本物のお姫様みたいだった。
オートクチュールの煌めきは脱いでも尚、ナナミさんを纏っていた。
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