DIAMOND IS AINA'S BEST FRIEND


「アイナさんピアスかわいい!」

「きゃ! ありがとう! ニューなの!」


 小粒なのに強烈に存在を主張するダイヤと、それに寄り添うように並ぶゴールドの組み合わせが綺麗だ。無限マークに見える。


「アイナさんにしては珍しいデザインですよね。でも似合ってます」

「そう。本当は大きい宝石が好き。品が無いって言われようが、宝石は大きければ大きい程好き。でもこれは一目で気に入ったの。ショーウインドウから呼ばれたのよ」


 耳に手を当て花のように微笑む。綺麗だ。


「運命の出逢いってやつですね。いいな、私も買い物したいな」

「気合い入れてる時よりふらっと通りかかった方が出逢う時ない?」

「めっちゃわかりますそれ」

「あの現象って名前あるのかな? お店覗く時、わざと気の無いふりするもん。ちょっと通りかかっただけですよーって」

「……本音は?」

「店員はよ出て来いや!」


 爆笑。


「買い物はいいよね。大好き。冬コスメも見たいし、このピアスに合うネックレスも欲しくなっちゃったの。困ったわ」


 それが全く困ってるように見えない。

 アイナさんのキラキラした目を見た。


「頑張って働くか!」


 にっと笑い合った。

 フロアに出るべく踵を返したアイナさんの輪郭に、ダイヤの光が冷たく反射した。とても綺麗だ。



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