華麗なるキャバ嬢


「イツカ、カレー食べに来ない?」

「女子力向上委員会ですか? 行きます」

「いやいや生活力だから」


 マイさんが料理する姿なんて想像出来ない。


「自炊するタイプだったんですね」

「まさか。天啓があって作ってみただけ。出勤前に食べたかっただけなのに、なぜか十人前くらいできあがってしまった。冷凍室が無いので途方に暮れている。助けて」


 つまり早く目が覚めて暇だったのね。

 それにしても十人前って。何が生活力だ。


「手料理なんて久しぶりで嬉しいです。楽しみだな」

「カレーだしね。不味くなりようがないっていうか」

「だから楽しみなんですよ」


 殴りかかるふりをされ、きゃあと逃げ出す。楽しいな。


「じゃあ送りの車一緒にしてもらうよう頼んできちゃうね。泊まっていきなよ」

「お願いします」



 マイさんのカレーか。せっかくなら作るところから一緒にいたかったな。買い出しとか楽しそう。


 スーパーに思いをはせていると黒服の声が聞こえた。出番みたいだ。カレーを美味しく食べるためにおなかをすかせよう。今日も元気に頑張るぞ。


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