番外編 花のお江戸の大相撲観戦
「やっぱり千秋楽の結びの一番が優勝決定戦って最高ですよね」
わたしは今日の最後の取り組みを終えてまだ興奮冷めやらない国技館の中で一緒に来ている渡辺さんに話しかけた。
今日は花のお江戸の大相撲観戦である。私が住んでいるみどりの市から東京まで飛行機で出てきて、大相撲一月場所の千秋楽を升席で見ることができた。
実は私がタイムリープして一番得したと思ったことは、10月10日の時点ですでにチケットを確保済みだった秋の地方巡業(自分の県に来たのを一周目にも当然見に行った)をもう一度気分的にはただで見られたことだった。
私のタイムリープ程度では世界に小石を投げ込んだくらいしか影響が出ないんだろう、組み合わせも取り組み内容もほとんど変わらなかったが大迫力の大相撲を二度も見られたことは本当にお得以外の何物でもなかった。
たった三か月前のタイムリープでは株式投資や競馬で儲けるチャンスもほとんどないし、そもそも普通の主婦の私がそこまで知識があるわけでもないからメリットはあんまりないかと思っていたが大相撲のおかげで
私の離婚はあっさりと成立し、孝は慰謝料を払うことを約束した。
考えてみると妹の瞳子が孝を殺していたら未亡人になっているところだったから、孝の未亡人にならなくて済んだというのも運が良かったかもしれない。
それに妹が殺人犯で不倫の果ての犯行とかなったら、我が家にもかなり影響が出そうだし。
そんなこんなで事後処理を済ませながら、その時にお世話になった刑事の渡辺さんにお礼のために私の方から食事に誘ったりとアプローチをかけていたのだ。
心の中で勝手に
そんな渡辺さんに「大相撲は好きですか?」と聞いた結果はイエスだった。彼は元々は柔道選手でインターハイでも活躍して大学卒業後、警察官採用試験で警察官になり県警本部で刑事にまでなっていたのだ。
柔道を始める前は相撲にするか柔道にするかで悩んだこともあったそうだ。
刑事の上に私よりも一つ年下で28歳で警部補。捜査の傍ら昇進試験の勉強まで進めて本当に優良物件だった。
「いえ、自分なんて全然モテないですよ。本当に彼女ができても長続きしないし。最近はお見合いの話が多くてそれも連敗中で、今度は婚活パーティーに参加しろって高校時代の友人に誘われていて」
誘った食事の席で恥ずかしそうにそう語る
世の中の女はなんて見る目がないのだ。これだけ性格も良くて努力することもできる。
体型だって基本的には柔道するために鍛えてきて今はちょっとだけ不摂生がたたってぽっちゃりしている圭一さん(ここからは親愛の情をこめてこう呼ばせて貰おう)みたいな人が彼女も出来ないだなんて。
プーさんみたいで可愛いじゃないか!!!
「圭一さんのような頑張っている人に寂しい思いをさせる見る目のない女たちが悪いんです」
あの日、私たちが出会った日に圭一さんに言ってもらった言葉をお返しする。
それから私はガンガンに攻めた。だって圭一さんは優良物件だ。
もし万が一ちょっとした病気で寝込んで痩せてしまったらイケメンになって他の女に持っていかれるかもしれない。
だが真面目で童貞の彼はなかなか手ごわかった。
彼が私に好意を持ってくれているのは伝わってくるが、どうしても向こうから来てくれない。
草食系男子という言葉が浮かぶが彼は格闘技もしていて出世欲もあるような向上心がある彼が草食系なんてあるだろうか……
おっと、回想してる場合じゃなかった……今は2人で国技館そばのちゃんこ屋さんでちゃんこ鍋を囲んでいる。
お昼も国技館の地下でちゃんこを食べているので1日2杯目のちゃんこだ。
「昼の塩ちゃんこも良かったですけど、味噌仕立てが好きだなぁ。こっちは赤味噌だと思っていたけどここのお店は白味噌なんですね」
「親方が西の方の人だから……私たちみたいな日頃から白味噌か合わせ味噌に慣れていると関東の赤味噌はきついですよね」
そう言いながらも、頭の中の圭一メモにでっかい文字で「ちゃんこは白味噌!」と書き込む。
この後はホテルを取ってあるが、圭一さんは当然
だけど私は今回頑張った……勇気を出してダブルを一部屋。今日で決める。決めるつもり、決まるかなぁ……
結論から言おう。圭一さんのあれが大きすぎて普通の女の子じゃ無理だった。
うん、孝のも大概大きいと思っていたけど……いや、比較するのはよくない。
とにかく大変だったけど、途中からめちゃくちゃ気持ち良かった。ダメだ。もうこんなの絶対に他の人には渡せないから。
圭一さん、ずっと一緒に幸せになろうね。
Happy End?
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ということで番外編でした。
オチは余計かもしれないですけどなぜ童貞なのか納得できないかと思って追加してます。
タイムリープが当たり前の世界で不倫されてタイムリープしたサレ妻と黒猫の一週間 みどりの @badtasetedog
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