鮮度

無事に依頼のミノタウロスを討伐し、村を後にした。

既に時間は、夕方近い。

肉の鮮度が気になるので、行けるところまで街道を走る。



少し先に馬車が魔物に襲われているのが見える。

肉が気になるが、かといって助力しなかったことで死なれるとなんだか飯が不味くなる。一声かけるか。

「助けはいるか?」

「「助けてくれ」」

何人かが一緒に応えたな。

そこまで劣勢には見えなかったが、まぁいいか。

魔物はウルフの群れだな。しかし数が多い。

適当に近くにいる奴から順に倒していく。

あぁ、馬車の陰に隠れて見えなかったが、上位種のリーダーがいるな。確かにこれなら、この人数では苦戦する。

次々倒していき、護衛の人たちが数人がかりでリーダーを倒したところで残りは逃げていった。


「終わったようだな。」

馬車の中から貴族と思われる人物が顔を出す。

(げ。)

「助けて頂きありがとうございました。

何か、お礼がしたいのですが。」

「いえ、先を急ぐもので。

ご無事で何よりです。では、失礼。」

(今は肉の鮮度が最優先)


呼び止められそうになったが、軽く礼をし、失礼にならないように大急ぎで走り出す。

本当は、もう暗くなりはじめているからそろそろ野営の準備に取りかかりたいが、貴族よりも肉の鮮度を優勢していることを伝える訳にも行かない。

追い付かれない程度に充分離れたところで、野営にする。

今日は、襲われませんように。




願いが叶ったのか、襲撃なしで朝を迎えることができた。

昨日、結構距離を稼げたので、順調に行けば昼前には街に着くだろう。

軽く朝食にし、身の回りを整え走り出す。



街道を走りながら考える。

何か肉の鮮度を保つ良い方法はないか。

これまでは、割りと近場で肉を調達できていたが、今回は遠かった。毎回これでは肉が心配だ。

氷室の環境をマジックバックの中で再現出来ないか。

今度、知り合いの鍛冶屋に聞いてみるか。




もうすぐ、街が見えてくるという場所で、今度は駆け出しの冒険者がゴブリンと戦っている。

いや、襲われているのか?ここで死なれると寝覚めが悪い。一応声をかけるか。

「助けはいるか?」

「「助けてください」」

おぉ、困っていたのか。適当にゴブリンを倒し先を急ぐ。

「無理すんなよ」




街の入り口が見える。

数人が入街のために順番待ちをしている。

その列の後ろに並ぶ。


今回の肉の仕入は、思ったよりも大がかりになってしまったな。でも、噂に美味うまいと聞くミノだ。期待は高まる。


知り合いの門番が冒険者証を確認しながらあいさつをしてくれる。

「おかえり」

「ただいま、いつもお疲れさん。

今回いい肉を仕入れたから食べに来てくれ。」

「こりゃ、楽しみだ。」



街に入ることが、出来たので真っ直ぐ冒険者ギルドを目指す。


昼の冒険者ギルドは、人が少なかった。

また、見られているような気がするが、今は肉の鮮度が最優先だ。

受け付けで依頼完了の報告をする。

ギルドの解体場が空いてるようなので解体を頼む。

「肉以外は全て買取で」


解体が終わるまで少し時間がかかるようなので、一旦家に帰ることにする。

「また、あとで来る」



昼飯はまだだったので帰りながら屋台で肉をパンで挟んだサンドのようなものを購入し帰宅する。


家に着くと、なんだかホッとした。

肉を仕入れられるかプレッシャーに感じていたようだ。

一気に疲れが押し寄せる。

が、服を着替え、さっき買ってきた飯を食う。

なかなか美味いな。俺も負けてられねぇ。

そろそろ解体の終わった時間だろう。

ギルドを目指す。







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