仕入れ2
ミノの討伐依頼を受け、目撃情報の場所を目指してしばらく歩くと、腰かけるのに丁度いい切り株があったので少し遅い昼にする。
村長が持たせてくれたのは、
自分たちが食べるものも少ないのに、わざわざ分けてくれた気持ちがとても嬉しい。
腹も膨れたし、目撃現場が近づいてきたからここからは慎重にいく。
この周囲は、木々がまばらで太陽の光が降り注ぎ十分明るい。代わりに身を隠せる場所は少ない。
地面は、山のため緩やかな傾斜になっているが、落ち葉も少なく戦闘には問題なさそうだ。
狩人の男が言ったように動物の気配が少ない。
それにじっと何かに耐えているように感じる。
かなり近いのかもしれない。
しばらく警戒しなが歩いていると、見つけた!
周囲を観察するがどうやら一体だけのようだ。
群れからはぐれたか追い出されたかしたのか?
あぁ、顔に新しい傷口があるな。縄張り争いで負けたのかもしれない。
少し小さい個体ではあるが、ミノの肉は
ミノは、耐久性が高く正面から挑むと削りきる前に皮や肉がボロボロになって味が落ちる。
弱点である頭、目、首を狙って素早く倒したい。
俺の攻撃は、力より手数と速度を重視した剣であるからそこまで相性は良くないが、奇襲気味に仕掛ける予定だ。
ミノは今食事に夢中のようだ。
丁度こちらに背を向けているため背後から忍び寄り頭に一撃。斬るというより殴るというような攻撃だ。
よろけて膝をついてくれたので頭の位置が下がったところを首に斬りかかる。今度はしっかり剣を立てたので首の辺りから血が出るが浅い。
不意打ちを食らったからかミノはものすごく激怒しているようだ。凄い勢いで突っ込んでくる。
その勢いを利用しカウンターを決める。肩の辺りがしっかりと斬れ、血を多く流したからか勢いが弱まった。
先ほどの首の傷を狙い同じところに一撃離脱で何度も攻撃を仕掛ける。やはり耐久性が高くそこそこ時間はかかったが倒しきることができた。
ここからは、肉の鮮度との戦いだ。
その場で手早く血抜きの処理をする。
すると、血の匂いに寄せられてボアがやってきた。
ついでに討伐する。
本命のミノの血抜きがもうすぐ終わりそうなので、ボアはそのままマジックバックに放り込む。
ミノも軽く処理をしてマジックバックに放り込んだら急いで村に戻る。
おっさんともなるとそこそこ長い時間冒険者をしていたので、運良くマジックバックを購入することができた。しかし、時間停止機能はついていない。
村の入り口には、まだ先ほどの青年がいた。
「戻った。」
「あれ、お帰りなさい。今日はミノタウロスはいなかったんですか?」
「いや、狩ってきた。村長に報告に来た。」
「えぇ!もうですか?!ちなみにミノタウロスはどこに?」
「ここだ。」
「うぉ~!マジックバックですか?流石ですね!
僕もミノタウロス見たいので、早く村長のところに行きましょう!」
「あぁ。」
青年は先に走って村長宅に向かい呼んで来てくれるようだ。
自宅から村長が出てきた。
「もう、依頼を終えたんだって!助かった。
良かったら見せてくれるか?」
「あぁ」
マジックバックからミノを出して二人に見せる。
「「おぉ~!」」
二人が大きな声で騒ぐので他の村人たちも家から様子を伺いながら出てきた。
皆、ミノを見て大興奮だ。
しかし、肉の鮮度が気になる。
「村長、依頼書にサインをもらえるか?」
「あぁ、そうだった。ありがとう。」
「ついでにボアが狩れたから良かったら食べてくれ。
昼食のお礼だ。まだ血抜きはしてないからそちらで頼む。」
ボアを出して、村人がボアに気をとられている間にミノをしまう。
村長に一言声をかけ、引き留められる前に慌てて出発する。肉は鮮度が大切だ。
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