仕入れ1

拠点にしている街を夕方前に出発し、走り続ける。

暗くなってきたところで野営の準備をする。


今回は、街道近くのため簡易に済ませる。

ミノは、耐久性の高い魔物のため、個体によっては戦闘が長時間化する可能性がある。

体力を温存するためにも早々に眠りにつく。



木を背に寝はじめて間もなく、人の気配で目が覚める。しかも複数だ。

まともな人間は、こんな暗くなってから行動することはない。緊急事態か盗賊のどちらかだ。

気配を消し、静かに近寄ってくるため盗賊の可能性が高い。

俺は、寝入って気づいていない振りをする。

懐のナイフの柄を握り間合いに入るのをじっと待つ。

しかし、なかなか近寄ってこないと思った瞬間、矢が飛んできた。それと同時に何人かが襲い掛かってくる気配がする。


慌てて矢をよけ、一番近くにいた奴の喉に懐から取り出したナイフを突き立てる。

木に立て掛けていた剣を握り、2人目に斬りかかる。

暗闇だったため狙いが少し外れ、肩を切り裂いたようだ。

3人目が斬りかかろうとしていたため、後ろに避けカウンターを仕掛ける。

少し離れた木の後ろで弓手が驚いて固まっていたので、一気に詰め寄り腕を切り飛ばす。

4人での襲撃だったようだ。

生き残りの2人を尋問すると、食いあぶれた村人のようだ。俺がひとりだから簡単に殺して荷を奪えると思ったようだ。

次はないだろうが、ひとりでいるのは、ひとりで対処出来るからだと教えておいてやる。


それにしてもこんなところでもソロを強調するのか?

ひとりでいたら駄目なのか?

ちょっとひとりが寂しくなって気になりすぎているだけか?

睡眠を削られて、イライラしてしまったようだな。明日に備えてもう少し体を休めておこう。





翌朝、軽い朝食を済ませ昨日の襲撃現場に向かう。既に魔物に食い荒らされ死体の処理は必要なさそうだ。


食いつめた村人ということで少し良心が痛むが、先に俺を殺そうとしたのは向こうのため仕方ない。

来世は腹いっぱい食えることを祈る。




引き続き、街道をひたすら走っていく。

昼前には、依頼の村に着いた。

村の入り口に立つ青年に話しかける。


「ミノタウロスの依頼を受けた冒険者だ。村長はいるか?」

「あ、ありがとうございます!

こんなに早く来てくれたんですね!

すぐに案内します。」

青年の案内で村に入り村長宅の前に着く。


「村長!依頼を受けた冒険者さんが来てくれました!」

青年が入り口で叫ぶと中から村長が出てきた。

入れ違いに青年は、村の入り口に帰っていく。


「あなたが依頼を受けてくれたのか?」

「あぁ。」

「早速、来てくれてありがとう。

依頼はミノタウロスの討伐なんだが、かなり強い魔物と聞いている。

その、失礼だが、ひとりで大丈夫か?」

「あぁ。問題ない。これでもA級ランクの冒険者だ。」

冒険者証を見せる。

「おぉ!凄い冒険者が来てくれた!

それじゃぁ、討伐をお願いします。

何か出来ることはあるか?」

「目撃情報がほしいんだが、誰に聞けばよい?

あと、この辺りの地理に詳しい者は?」

「だったら、村の狩人を案内役にしよう。

どちらの話も彼が詳しい。」





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