第36話 しんじゃダメ!
アインは宙を仰いで、
「もっともディンの神官どもが、誰をよみがえらせようとしていたか。そこまではオレにも分かりかねるし、知りたくもないがな」
と吐き捨てたあと、ニカの首すじをなでながら。
「オレの望みは、あくまでもこの世からあとかたもなく消えることだ。こんな魔物に憑りつかれまくった人生なんて一刻も早く終わらせたい。お前だけはそれができる。な? カンタンなことだろ?」
「だから――」
ニカはいまいましげに眉間にしわを寄せた。
そんなのイヤだって言ってるのに。
結局このひと、私のこと自分に都合のいい道具としか思ってないんじゃないの?
一瞬でも王子さまだと思って、胸をときめかせた自分が情けない……。
ぐっ、と歯を食いしばったそのとき。
「ダメーッ!」
けたたましい声が、ニカの耳にこだました。
な、なに?
「アイン、しんじゃダメ。まだ、おねぇちゃんみつかってない!」
わたあめのようにふわふわした黄金色の髪をした小さな女の子が、ぴょこんと顔を出した。
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