「ニカ、このままオレについて来てくれたら、お前に果てのない自由を約束しよう。オレを始末したら、お前はこの私利私欲にまみれたディン教徒たちの手の届かない、新たな地で生きていけばいい」

　正直あなたのことは殺したくないけど……ニカは、少しだけとまどったように目をふせたあと、パッと顔をあげて。

「でも、自由にはなりたいです。ここから飛び出して、新しい世界を見てみたい！」

　アインは、にこやかにうなずいて、

「分かった。その望み、かなえてやる。これまでのお前にかけられていた、忌まわしい呪いを解いてやろう」

　と、ニカのあごにやさしく手をかけて唇を重ねた。

　やさしい朝の光が、部屋じゅうに満ちはじめる。

　ニカが生まれてはじめて目にする朝の光景。

　そして、生まれてはじめて心をときめかせてくれた相手とのくちづけ。

　厚い雲が消えたように、スッキリと心が晴れていく。

　わぁ、とてもすがすがしい気分。

　なんだか、生まれ変わったみたい。

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