第27話 神官長

 アインはさげすんだ笑みを神官長に向けた。

「『われらディン教徒』か。エルでもアヌークでもなく。無礼もはなはだしいな。彼女たちが聞いたら泣くぜ」

 神官長は、チラとアインに視線を向けて。

「だまれ化け物が」

 年齢は六十代くらい。体格は中肉中背で、屈強さなどはどこにも感じられないが、全身から奇妙な威圧感を放っている。

「やだ、あいつキモーイ」

「絶対に距離を置いたほうがいいタイプですなぁ」

 アズーラとエンデが、あわててアインの中に引っこむ。

「『死を招き』を返せ。さもなくば命はないぞ」

 神官長が、紋章が彫られた白銀の杖をアインに向けた。

 アインはニイッと口元をゆるませて。

「そいつは願ったりかなったりな話だが。オレのことは、こいつしか殺せない。それはアンタもよく分かってるんじゃないのか?」

「なにをバカなことを……」

「悪いが、オレはアンタたちを誰ひとりとして許さないからな。生まれてから今までこいつに『呪い』をかけ続けたこと、『創世記』からエタアに関する記述を抹消したこと。これまでアンタたちがやってきたこと、すべての報いを受けてもらう」

 アインの目つきが紫色の刃のように鋭くなる。

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