第22話 エンデ
「これはこれは。ディン教徒の方々、お初にお目にかかります。わしの名はエンデ。『創世記』ではおなじみの存在ですな」
そうあいさつをした後、エンデは神官たちに飛びかかった。
口ぶりこそていねいだが、やりかたはまさに血に飢えた魔物そのもの。
神官たちの、のど首に、肩に、胸にかじりついては、無我夢中でその命を奪っていく。
「相変わらずのバイオレンスジジイねぇ」
アズーラが不快そうに口元に手をあてる。
「じーさん、一気には殺すな。ひとりくらい息のあるヤツ残しとけ」
アインの声に、エンデはピクリと耳を動かして、
「気が向いたらそうさせてもらいますよ」
と、血がべったりついた顔をアインに向けた。
「あ……」
壮絶な現場にニカは思わず気を失いそうになる。
「いっけなーい、若い子にはちょっぴり刺激的だったかしら? だけど、こいつの日常っていつもこうなの。ちょっと気を楽にしててね」
アズーラは動揺するニカをやさしく抱きしめた。
甘く、どこか冷たい香りがニカを深い安らぎに誘う。
しだいにニカはウトウトとしはじめた。
「落ち着いたか」
アインがニカのほうをふり返る。
アズーラはフンッ! と胸をはって。
「あたしの香りにはクマだろうが、アクマだろうがかなわないわよ。ほら、早く抱きかかえてあげなさい。色男」
「ちょっと待て。あのままじゃ、じーさんが全員喰い殺しかねん。まだ死んでないヤツを見つけないと」
アインはまったく表情を変えずに、血まみれの神官たちのもとへ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます