第21話 利益と犠牲

 歴史に埋もれた財宝を発掘するのを生業にしていた若き研究者、アインは、この謎に満ちたエタア万博の出品物たちを探しに出かけることにした。

 長年の執念の甲斐あって、出品物のいくつかは実際目にすることができたが、犠牲も負った。

 難破船を引き上げて、その中から『魔人の心臓』を見つけ出したときのこと。

「これはこれは。久しぶりの新鮮な生き血じゃ。遠慮なくいただこう」

『魔人の心臓』の守護者であるオオカミの魔物エンデからあやうく食われかけたが、

「待て。どうせならオレに憑け。腹ならいくらでも満たしてやる」

 宝欲しさに苦しまぎれに出た言葉だったが、エンデはこの話を快諾した。

 青い蓮の沼に棲んでいた魔物アズーラもそうだった。

「もう辛気くさい男女をドボンさせるのにも飽きたし~。どうせならイケメンのそばにいるほうがいっか♪ アンタあたしのタイプとはちょっとちがうけど、ガマンしてあげる☆」

 こうして、アインは宝の研究と引きかえに、数々の魔物に憑りつかれた。

 魔物の呪いによって、いずれ死に至るのだろう。

 そう考えていたアインだったが、それは大きなまちがいだった。

 むしろ、その逆だったのだ。

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