第20話 エタア万博②

 いわくがあるのは、小さなものだけではない。

 会場に造られた青い蓮の庭園。その色はサファイアのように美しいけれども、養分はヘビの猛毒。その蓮から作られた香水には催淫効果があり、おもに情婦たちに愛好されたが、その香水の匂いがするところでは必ず心中事件が起こったそうだ。

 このようになにかと物々しい逸話のつきまとう出品物が大半を占めるなか、ほほえましい品や、希望を感じさせる品もあった。

 エル・ディンが身に着けていたとされる純銀の鈴。

 これを鳴らすと、エル・ディンがあらわれ、ありとあらゆる災厄からその持ち主を守ってくれるのだという。

 また、そのエル・ディンを守護する聖獣エリスの鱗。

 聖獣エリスは世界が危機に瀕したとき、あらわれるという不思議な獣。

 ありとあらゆる呪いを打ち砕くことができ、その血は死者をよみがえらせることができる。エリスは何度でも復活し、エル・ディンとともにこの世に光をもたらすのだ。

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