第18話 二匹の魔物

 目を丸くしているニカに、真っ青な女性は無邪気にほほえんで。

「アズーラよ。あたしたち、あいつの中に棲んでんの」

 あたしたち?

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」

 老人の満足げな笑い声がした。

 ニカが声のするほうを向くと、一匹の巨大なオオカミがアインにまとわりついている。

「やはりぼっちゃんの血はたまりませんなぁ。アイン様はわしの最高の糧でございます。死ぬことなぞ考えずに、いつまでもこうして寄りそって生きていこうではありませんか」

「ちょっとエンデちゃん! あたしの取り分も残しといてよね。どーせ死なないんだから、もっと景気よく血ふき出してくれてもいいのに。ドーンと温泉みたいにさ」

 様子を見ていたアズーラが不満をもらす。

 アインはうんざりしたように、額に片手をやりながら。

「勝手なこと言ってないで、さっさと仕事にかかれ。モタモタしてるヒマはないんだ」

 いっぽう、ニカは現場の状況がまったく把握できないでいた。

 なんなの? このひとたち。

 それにさっき「死なない」って――。

「あなたたち、何者なの……!?」

 アズーラが、ポンッ! とニカの肩に手をやった。

「あたしたち、宝物の魔物。んで、あいつには呪いがかかってんの。アインってトレジャーハンターなのよ。まっ、これだけじゃ全然分かんないかぁ~♪」

 キャハハハハッ! とアズーラは高らかな笑い声を響かせた。

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