第12話 侵入者
そして時は経ち。
明日の朝になれば、ニカは、生まれてはじめて塔の外に連れ出され、そしてその命を終える。
さようなら、お父さんたち、お母さんたち。
忌まわしい存在であるはずの私のことを、今まであたたかく見守ってくれてありがとう。
でも……やっぱり死ぬのはこわい。
私がこの世から消えれば、みんなが幸せになれるのに。
朝を待つのが、とてつもなくつらい。
今が真夜中なのか、夜明けなのか。
それすらも私には分からない。
こんなにつらい思いをするくらいなら、いっそのこと、今すぐに心臓がはりさけてしまえばいいのに!
そのときだった。
バキイイッ! という鈍い音とともに、ニカの壁に亀裂が入ってくずれた。
あらわれたのは、ねずみ色のロングコートを着た背の高い男。
長いくすんだ赤色の髪が、ゆるやかに波を打っている。
目鼻立ちのくっきりした、端正な顔だちの青年だが、その顔色は青白く、紫色の瞳には、異様な光が満ちあふれている。
「お前が『死を招き』ニカか。頼みがある。オレを殺してくれ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます