第4話 告知
囚人たちに見守られていたニカだったが、まだ幼子。
常に薄暗い部屋に閉じこめられているため、しょっちゅう泣きわめいていた。
泣き声にうんざりした神官たちは、ニカのもとに古い絵本を差し入れた。
思いやりなどではない。ただ、『死を招き』の泣き声につられて、不吉なものがやって来ないかを危惧してのことだった。
色あせて、ページのとれかけた傷みの激しい本。
けれども、ニカにとってはどの本も大切な宝物。
「むかし、むかし、あるところに――」
囚人たちに読み聞かせてもらう物語は、この牢獄しか知らないニカにとって、新しい世界を知るカギとなった。
どうして私は、ずっとここにいるんだろう?
いつの日か、私もこことは別の世界に行ける日が来るのかしら?
その日を夢見ながら、ニカは暗闇に閉ざされた塔のなかで成長していった。
十歳になったころ。ニカの髪は肩まで伸び、真っ白い髪には鮮やかな紫色の筋が遠目からでもハッキリ分かるようになっていた。
このころ、ニカは自分が神官たちや、まわりの囚人たちとは外見の様子が異なることに違和感をおぼえていた。
「どうして、私の髪の色や目はみんなとちがうの?」
そう問いかけたが、囚人たちは誰もはっきりとは答えなかった。
「ニカはそういう子なんだ」
いつでもそうくり返すばかり。
悩んだニカは、ある日見回りに来た神官にたずねた。
「なぜ、私はみんなとちがうのですか?」
すると、神官は神妙な面持ちでニカに告げた。
「それは、お前が呪われているからだよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます