第9話 マヨイガの森の大きな湖
「くんくん、ん?あ、もしかして」
「どうした?」
「うん、シンスケ。こっちだよ」
ミネルヴァは、俺の手を取り歩き始める。
歩む先は、鬱蒼とした森が続いている。
だが、しばらくすると拓けた場所に辿り着く。
そこは、見渡す限り森が開け景色を一望できる。
俺は、すぐに一眼レフカメラのレンズを広角に換装する。
そして、シャッターを半押ししてから全押しする。
そうして映し出されたものは、大きな湖だった。
「どうやら、マヨイガの森の中心に来たみたい」
「確かに、よく周りが見える。
空が近いな」
北海道の摩周湖や大沼に近しい感じなのだろう。対岸までは中々距離がある。
この湖があるからマヨイガの森には霧が立ち込めるのだろう。
湖を中心に森が拡がっている。
それが、マヨイガの森の認識だ。
「まずは、水質を調べてみよう」
俺は、ベルトに付けているカラビナからデジタルph測定器を外す。
そして、湖の水質を調べる。
ぴぴぴっと電子音を立てる測定器。
数値は、8.0...弱アルカリ性だな。
飲んでも大丈夫そうだが…飲み水以外に使用しよう。
「シンスケ、それはなに?」
「あ、これはph測定器。水が酸性・中性・アルカリ性か知ることが出来る機械だよ。
ここの水は、弱アルカリ性だから大丈夫そうだよ。
ちょっと、飲み水としては分からないから料理とお風呂ようにしようか」
「じゃあ、今日はここがキャンプ地?」
「そうだね、設営の準備するね」
俺は、テーブルチェアを取り出す。
ミネルヴァは、テーブルの上に集めてきた物を置いた。
「じゃあ、私は狩りしてくるね」
「あ、ミネルヴァ。このブローチ付けて行って」
彼女は、驚いた表情を浮かべる。
俺が渡したのは羽を模したブローチで小型カメラを内蔵している。
動画撮影が可能かのテストをしてみようと思ったんだけど…。
「シンスケ...ありがとう。大切にするね」
「あ、ミネルヴァ。違う違う。大切にしてもらうのは助かるけどそれ、カメラだよ」
「え?カメラ」
「ここ...小さなレンズあるでしょ」
「あ、確かに…でも、私ボタン押せないよ」
「これは、写真じゃなくて動画…えっと、詳しくは帰ってきてから教えるよ」
「うん、分かった。行ってきます」
俺は、常時撮影モードにしてミネルヴァの服にブローチを付けた。
彼女を見送ると俺は設営を続ける。
テントは、昨晩と同じように薪ストーブとベッドを設置していく。
ポータブル浴槽も設置して、湖の水を入れておく。
昨日のお湯は、冷めた頃に森に撒いてきた。
早めにお湯を沸かしておこう。
焚き火台を設置して、火を焚いておく。
ロールパンをアルミホイルで巻いて入れておこう。
バーベキューコンロも設置して、炭入れをして火を焚いておく。
よし、準備完成。
俺は、カーボン製の釣竿を『アカシック』のポケットから出す。
湖だからルアーでマス狙いかなぁ。
異世界にいるかは分からないけど。
いや、ここはスピニングリールで行こう。
取り出した釣り竿を別の物と変える。
スピニングリール専用ロッド…スピニングロッド。
ベイトリール専用ロッド…ベイトロッドと悩むけど今回は重心優先かな。
スピニングロッドの方が重心が安定するから。
スピニングリールはロッドの下向き、ベイトリールはロッド上部に直結している。
あとは、ルアーか。
マス狙いならハードでもワームでも行けそうだなぁ。
よし、まずはワームで行こう。
釣り竿を準備したら、長靴に履き替えて…クーラーボックスに水を張ってと。
釣りもワクワクするなぁ。
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