蛇足 「ヒナ、疑似〇〇を製造するの巻」

 時は少し遡り……


 とある森のなかにて。


 一人の可憐な少女が一生懸命に栗の花をむしり取っていた。




★★★★★★★★★★★★


【栗の花の声】


栗A「あ、いたーーーーーーーーーー!!!!!」

栗B「いたーーーーー!!!!!!」

栗C「ちょ、ま……。あ、いたーーーーーーーーーー!!!!」



★★★★★★★★★★★★



「永治の言ってたこと、本当だったみたいね……」



 青木ヒナ、学校の帰りの放課後に、栗の花を乱雑にむしり取りながら、スンスンと匂いを嗅ぎまくっている。



「まったく、どうして。梨太郎のあれと同じ匂いだわ。自然界って本当になんでもあるのね」



『ブチィィィィィィィィィ!!!!!!』



★★★★★★★★★★★★


【栗の花の声】


栗A「あ、いたーーーーーーーーーー!!!!!」

栗B「いたーーーーー!!!!!!」

栗C「ちょ、ま……。あ、いたーーーーーーーーーー!!!!」



★★★★★★★★★★★★



「くおらぁ!!!!」



 ヒナが着々と作業を進めている最中だった。


 ふと、山道に現れた一人のご老人が、声を張り上げていた。



「無駄な殺生はやめなさい、お嬢さん」



 身長はすでに、重力に耐えきれず、かなり縮んでしまっていて、腰もかなり曲がっている。


 杖をついたおじいさん、現る。


「あ、おじいさん。こんにちは」

「おお、おお。挨拶ができるなんて、今どきの若者では珍しいねぇ」


 おじいさん、すでに数秒前の感情を忘れているようで、ヒナともあろうものが、呆気にとられている。


「おじいさん、強く生きてね」

「ああ、まだまだ、わしゃビンビンだね。その栗の花みたいに濃厚な……」

「ごめん、おじいさんの口から聞く下ネタほど萎えるもんないから……」

「な、なえ……」

「まじ、萎えちん◯」



 ヒナは再び、栗の花をむしり取り始めた。


 一方で、おじいさんはというと……



「お主、実はオトコの娘じゃったのか。長谷川恭次郎、84歳。この歳にして新たな扉を開いてしまったからには、まだまだ死ぬわけにはいかんのう……」


 どういうわけか、勝手に新しい扉を開いている模様。


 しばらくの間、じっとヒナのことを見つめている、おじいちゃんであった……



★★★★★★★★★★★★★★★



「それにしても、くっさいわね……」



 ヒナ、自宅に戻ると勉強机の上に新聞紙を広げ、栗の花をそこにぶち撒ける。



「……なんか、〇〇ぶっかけたみたいになったわね。ああ、なんか私、変態かも」



 こんなヒナでも、一人でいるときは冷静になれるみたいだ。いっちょまえに自己嫌悪できるくらいには、理性はあるみたいだ。


 しかし、どうしてだろう。梨太郎とか永治とか。


 自分以外の人といるときは、今よりもかなりアホになってしまうのは、どうしてだろう。



「永治に聞いたのはここまで、あとはこの栗の花を、ああして、こうして……」



 ヒナはキッチンから持ってきたミキサーのなかに、


 栗の花を投入し、


 そこへ梨太郎の部屋からこっそり奪ってきた、ローションを投入。



「あのねっとりした感じは、ローション一択でしょ!」



 そうして、ヒナはミキサーのスイッチをONにして、かき混ぜる。


 疑似〇〇の出来上がりだ。



「できたわ……色味もなんだか、それっぽいわね」



 ヒナはミキサーのコンセントを抜き、安全確認をしてから、そのどろどろの液体を人差し指ですくう。


 スンッ


 ……


 スンスンスンッ


 …………


「うん、完全に◯◯だわ。たぶん、これで妊娠しちゃんじゃない」



 ヒナの顔は至って真剣である。


 ヒナは天性のアホなのかもしれない。



「でも、これを直接あそこに入れるのは怖いわよね……。絆創膏でも貼っておきましょうか」



 ゴソゴソと衣服を脱ぎ、絆創膏を貼り、



「あっ……」



 変な声も途中で混じったが、無事にガードに成功し……


 疑似〇〇をたんまりと、真っ白布製パンティに塗りたくり……



「よしっ、これで準備完了ね!!!!」



 青木ヒナ、16歳。


 まだまだ先が思いやられる。


 お母さんとお父さん、本当に心配してると思うよ。


 というか、勝手にお家のミキサー、そんなことに使ってよかったの?


 せめて、ミキサーは洗ってから出かけようね。万が一、そのミキサーに入っている液体をお母さんたちが、見るようなことがあったら、たぶん、失神ものだと思うからさ……



「梨太郎、待ってなさい!!!!!」



 ヒナは、一度は脱ぎ捨てた学生服を再び着衣。


 ミキサー、放置。


 ヒナ、ダッシュ。


「私は寝取られた。寝取られた。パンツのシミが証拠。匂い嗅がせる……」


 閑静な住宅街のなかを走る一本の道路に、一人の痴女出現。


「おかーさん、お姉ちゃん、パンツのシミとか言ってる……」

「こら!大声出さないで!こっちへ来なさい!!!」

「でもさー」



 こうして、梨太郎のもとにNTR少女が向かっていったのでした。



「梨太郎……どんな反応してくれるのかな。楽しみだな!!!!」



 スキップ、スキップ、ランランラン。


 シミ、染みわたる、ジンジンジン。


 ああ、楽しいな、ランランラン。


 …………………………


 ……………………


 ………………


 …………


 ………


 ……

 

 …

 


『ダアアアアアアアンッ!!!!!!!!!』




「梨太郎!!!!!私!!!今さっき寝取られてきたよ!!!!!!」



______


 以上、蛇足の巻でした。

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俺の彼女が『寝取られてきました!!』と満面の笑みで言った件について ネムノキ @nemunoki7

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