【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode073 俺の主人公属性、発動するなあああ!(切実)→問題ナシ
Episode073 俺の主人公属性、発動するなあああ!(切実)→問題ナシ
優しい甘い声で話しかけながら近づいてきたその少女は、確かに美少女であった。
肩口で切り揃えられた水色の髪を揺らし、綺麗な海のような蒼い瞳を持っている。
女子と縁のないケントが好きになるのも分からんワケではない。
そもそも『女子と縁のないヤツは女子に優しくされただけで好きになってしまう』とか前世で自称非モテ男子動画配信者が言っていたし、あんまり関係ないかもだが。
だからといって、これ以上誰かをハーレムに巻き込むなんて愚行はしない。
それに、今までの皆は何かしら事件があって出会ってるから、こういう出会い方だとちょっと納得し難いものを感じる。
そんなのは完全に俺の自己満足なんだけどな。
少女が俺たちの目の前にやってくると、急にケントが立ち上がって。
「お、おおお、おは、おはよう! ウィクスちゃん!」
めっちゃテンパりながら挨拶した。
何もしないよりかはマシだとは思うんだが、人見知りみたいな挨拶しなくても。
そのくらいに緊張しているらしい。
正直言えば、俺もこんな感じのを味わってみたかった。
まあ、現状が最高なので、ワガママみたいな理想だったものを思い浮かべていたらモテない人とかに怒られる気がするし、そんなことを思うのはやめておこう。
一方で、真っ赤になっているケントに挨拶されたエルフの少女……ウィスクさんは。
「ケントさん、おはようございます。それと、あなたは確か……、昨日はカキゴオリなんてものを販売したり、数日前にライブを計画したりしたアヅマさんでしたか?
はじめまして。私はウィスク・ロッシュです」
俺に自己紹介をしてくるウィスクさんからは今のところはケントのことを好きとかは見えないのだが、まだ希望は捨てられないな。
というか、俺の知名度ってどんだけ上がってるんだろうか。
とりあえず俺も改めて名乗っておくとするか。
「ご存じの通り、俺はアヅマ・カンザキだ。ケントがお世話になったことがあるようだが、俺の友人が迷惑かけなかったか?」
「ちょっ……。親みたいな訊き方だな……」
俺の訊き方に呆れるケントを無視して、俺はウィスクさんの反応を待つ。
ココでいい反応が得られなかったら、もう脈ナシの可能性の方が高いからな。
そんな感じでケントの恋の無事を祈っていると、ウィスクさんから返答が。
「ケントさんは迷惑ではないですし、一度臨時パーティーを組んだことがあるだけなのですが、あなたの戦いっぷりはとてもカッコよかったです。私は、とても頼りになる方だと思っています」
……かなり好印象だな。
これならケントの恋はまず大丈夫かもなと思いながら横を見ると、やっぱりケントは顔を真っ赤にして固まっていた。
そういえば、ウィスクさんを好きになってから会うのはこのタイミングが初めてだったのかもしれないし、緊張するのも納得できなくはない。
2人は両片思い状態に陥っているのかもしれないとすら思えてしまう。
しかも、次のウィスクさんのセリフはソレを裏付けるかのようにも聞こえた。
「それでなんですが……。もしケントさんがよければ、この後私とクエストに行きませんか? ちょっと1人じゃ厳しいかなって思ったんですが、ケントさんがいれば勝てる気がするので……」
……もしコレで両片思いじゃなかったら、前世にある漫画とかラノベだと読者から大ブーイングを受けることだろう。
俺としても、展開を期待させるだけ期待させておいて残念展開にされたら少しキレるかもしれない。
さて、ケントはどう対応するか。
「あ、あなたとご一緒でくるのならば、不肖ケント、どこまでもついて行きます!」
キャラ変したみたいになってるな。
そのくらい緊張してるってのは分かるんだけどさ?
しかも噛んでるし、現状のケントはダイジョバナイとでも言っておこう。
ウィスクさんの方を見ると、ソレを気にする様子もなく、嬉しそうにしている。
……もし2人が無事にくっついたとしても、ネトラレが起こらないことを願うか。
「それでは、今日はお願いしますね。……アヅマさんもご一緒してください。人数が多い方が安心しますので」
そう言って微笑む姿は、まだこの世界に来てユイナに出会う前だったら、好きになってしまっていた自信がある。
……このことは思わなかったことにしておこう。
とりあえず、今日のクエストで何もないことを……。
「キャッ!」
……祈ろうとしたところで、後ろを走っていったどこぞの冒険者の肩が当たったウィスクさんが、俺目掛けて真っ直ぐ倒れて……。
やめろ! もしヘルメが仕掛けた主人公属性が発動したら、また好きにさせるだろ!
もはやアレは呪いの類だからな……。
だから頼む!俺の主人公属性、発動するなあああ!
俺は思わず目を閉じて、懐に倒れてくるのを受け止める準備をした。
「よっと。大丈夫か? まったく、どこの誰なんだか……」
……のだが。
目を開けると、ケントがしっかりとウィスクさんを支えていた。
正直なところ、彼にはかなり荷の重いことのはず。
たぶん、この後で俺と2人きりになったら、めっちゃ脱力するだろう。
まあ、こうやって動けたんなら、もうケントは大丈夫だろう。
そんなことを思いながら、俺たちはクエストに行くのだった。
次回 Episode074 臨時パーティーと幻想蝶とケントの行動
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