【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode071 王都かき氷店、オープン。
Episode071 王都かき氷店、オープン。
俺が計画を皆に話した翌日。
物事がスイスイと思ったように進んだことにより、既に今日からかき氷屋ができることになっている。
『魔法創造』で作った魔法『記憶再現』――記憶の中にあるものを再現したものを実体で生成する――にでシロップも再現したし、もう始めていいだろう。
昨日の受付嬢の人は俺たちの店が普通に人通りの多い場所にしてくれたので、あえて告知はしていないのだが。
まあ、人通りの多い場所に密集されても通行人の邪魔だからな。
とりあえず朝食のタイミングでいつから始めるか、皆に相談してみると。
「私は、もう始めちゃっていいと思います! 今日は朝から一段と暑いですし、すぐにお客さんが来ますよ!」
「そうデス! テイニーも、もう始めたいデス!」
ユイナとテイニーの発する意見に、皆は頷いている。
テイニー以外の12人はレジとかかき氷を渡すのとかをやってもらうだけなんだが、それでもやりたいというのは何だろうか。
そのくらい俺が始めたいって言ったコレに興味みたいなのがあるってことなのかね。
どうせ今日は暇だし、それならもう開店していいかもしれない。
とは言っても、一日お試し開店だから、今日が終わったらどうなるか分からんが。
「それじゃあ、今日はかき氷屋を一日頑張ろう!」
「「「おー!」」」
*
今はだいたい正午である。
人々は昼御飯を食べる為にギルドの酒場やその他飲食店に入っていく頃だ。
だが、今日はそれらの店の多くは閑古鳥が鳴いているはず。
人が入っている店だって、普段よりも客足が少ないことに首をかしげているだろう。
それもそうだ。だって……。
「テイニー、早く氷を創ってくれ! もう間に合わない!」
「分かってマスよ! でも、やっぱり暑いと効果が薄くなりマス……」
……今日はこの俺たちが店を出しているのだから。
そもそもかき氷自体がこの世界にはなく、その影響からか人々が殆ど俺たちのかき氷屋に集まってしまっている。
人通りが普段から多い通りは完全にごった返していて、通り抜けるのもやっとなように見えるくらいには、ココに人が集まっていた。
そんなにかき氷って新鮮なのか?
昔ながらな見た目をしているかき氷機のハンドルを回しながら、俺はそう考える。
俺が創り出した魔力でできているカップにいいくらいに氷が入ったのを確認すると、いちご味のシロップ――の味を再現した違和感のない謎の液体――をかけ、ソレを近くにいたユイナに手渡す。
「お待たせ致しました! かき氷一つです! 美味しく食べてくださいね?」
「は、はい……!」
ユイナに笑顔でかき氷を差し出されて真っ赤になりながら、頼んだかき氷を受け取った男が後ろへ引き下がっていく様子を見て、俺は何度目になるか分からない疑問を脳内で独り言ちる。
……水着にさせたのは、ちょっと、……いや、かなりアウトだろうか。
現在、急拵えとは言えど、12人は水着を着ている。
今の俺の魔力量と魔法精度、そして精神生命体としてあることを理由として、もう俺の創る服や水着は永遠に近い時間使うことができるほどになっているのである。
まあ、そうじゃなかったとしても、一日ならどうにかなったのだが。
俺の創った水着は全部ビキニだったのだが、文句の一つもなしに着こなしている皆を見ていると、なんとなく悪いことをしているような気分になってしまう。
だって、俺が着させたくてビキニを創ったみたいな感じになってて、その上で皆は俺がソレを着てほしいと思ってるなんて勘違いしてソレを着ているんでしょ!?
何にせよ、家もとい屋敷に帰ってから土下座確定である。
「アヅマ! もう手を入れてるだけじゃ上手く氷になりマセン!」
左を向くと、切羽詰まった表情で手を水の入っているデカい容器に突っ込んでいるテイニーが困っている様子だった。
テイニーは絶対零度の精霊なので、水の中に手を入れておくだけで十分なんだが、どうやらそんなことにも魔力を使うらしい。
そこまで消費は大きくないのだが、使い続けていると少しずつ効果が弱まってしまっているとのことだ。
……そういうことなら、コレでどうにかなるだろう。
『魔力を使い続けている所為で疲れた』ってなってるんなら、『魔力を使い続けなければいけない』とイメージさせればいいのだ。
「それじゃあ、こういう景色を思い浮かべてくれ。俺が水に囲まれた孤島の上で、炎に囲まれてしまっている様子を」
そう、凍らせ続けなければいけない状況をイメージさせることで、自発的に凍らせようという作戦なのだ。
どんな条件下だったって今の俺ならどうにかできるんだが、そんな状況で何もしない皆ではないのは確定だからな。
まあ、こういうのは俺への好意を利用しているみたいで心地が悪いのだが。
俺のその発言の三秒後に、隣で「バキバキッ」と音を立てて水の入っているケースの中をテイニーが凍らせたのを見ながらに、俺はそう思うのだった。
*
日が完全に沈んで見えなくなった頃。
最後のお客が満足そうにかき氷を受け取り去って行った。
……やっと終わった……。
俺だって、前世にバイトをしたことがないワケじゃない。
しかし、ここまで忙しかった記憶ことはなかったのである。
何人か数回来ていたような……と思いながらも、俺たちは店じまいをしようと……
して、俺は皆に先に帰るように伝える。
12人とも疲れた顔をしているからってことと、ナノックがめっちゃ赤い顔をしていることが理由としてある。
どうやら、本当は水着を着たくはなかったのかもしれない。
俺からのお願いだって断ってもいいと言ってみるべきなんだろうか。
それはともかく、……本音としては、12人の水着姿が俺の目に毒だ。
そのまま水着姿のままで片付けを手伝われると、ポロリを主としたラッキースケベが起こるのは間違いないし。
俺はそんなことを考えながら、皆が帰る姿を眺めて店じまいを始めるのだった。
次回 Episode072 友人の恋の悩み
《第二部 第二章》スタート ※茶番すいませんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます