【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode070 かき氷屋台を王都にて。
Episode070 かき氷屋台を王都にて。
俺が『魔法創造』をヘルメに譲渡された翌日、ちょっとやりたいことが見つかった。
コレは少し憧れていたことであり、日本人なら歓喜することだろう。
それは……、かき氷屋だ。
この世界の夏も日本の夏と負けず劣らずなレベルで暑く、きっと売れるはず。
もうかなりの金額を持っている俺たちに金は必要ないのだが、コレは商売なのだから仕方ないのである。
まあ、その分はディアーに国の為に使ってもらうように寄付するか。
ということで、俺は朝食の場でそのことを説明すると。
「やりましょう! この暑い夏に売れそうな商品ですね! お店をやってみるのも楽しいと思いますし、美味しそうです!」
ユイナを筆頭に、皆が賛同してくれた。
とりあえず、テイニーに氷を作らせておけば変態どもが寄ってきて売れるだろ。
『美少女の生成した氷』とか、絶対イヤラシイことを考える輩がいるはず。
アイツ等はそういうことを考えない輩じゃないからな。
「それじゃあ、早いうちにギルドに営業申請してくるから、すぐに許可が出れば今日からでも始めていいか? と言っても、今日だけお試しでって感じだが」
俺の問いかけに皆が頷いたのを確認すると、俺は初めての『魔法創造』を発動する。
ソレで今回創る魔法は、『かき氷機製造』だ。
普通に『物質創造(高)』でやっても良かったんだが、よくよく考えたら俺はかき氷機がどういう構造でできているのか知らない。
それなら、『かき氷機本体を生み出す魔法』で造ればいいのである。
俺は魔法の創造が完了したのを確認すると、『かき氷機製造』を発動させる。
すると、目の前にボンッと音を立てて急にかき氷機が出現した。
……ホントに成功するとは。
「……とりあえず、ギルドに申請しに行ってくるわ」
「あ! 氷を作る担当デスから、テイニーも行きマス!」
魔法を創ることで何でもどうにかできてしまうということにちょっとした罪悪感を感じた俺は、一緒に行こうとするテイニーと共に家もとい屋敷を出る。
というか、テイニーに氷を作らせるってことはまだ言ってないはずなのだが、意外と察しがいいのかもしれない。
それはともかく、移動といえば、『瞬間移動』ならナノックが以前使ったヤツを見ていたから使えるし、それこそ『魔法創造』を使ってしまえば簡単な話である。
だが、こういうときに会話する時間とかは必要なのでわざと使わないでおく。
あったら使えばいいってモンでもないからな。
ということで、テイニーと話しながら行くか。
「言ってないのに、どうして俺がテイニーに氷を作らせようとしていたって分かったんだ? もしかして、精神生命体って思考が他の精神生命体に読まれるのか?」
「テイニーはアヅマといられる時間が増える合理的な理由だと思っただけデスが?」
……つまりは、テイニー自身には計画に賛同して一緒に来たってより、俺と二人きりでいる為だったってことか……。
なんとなく嬉しいような気もするが、今頃はユイナたちが「アヅマくん1人だけで行っても問題はなかったのでは?」となっていそうである。
帰ってからテイニーがどうなろうと、それは自己責任だが。
……いや、それはそれでスッキリしないし、「俺1人だけで行っても問題なかったことに気付けなかった俺も同罪だ」とか言ってどうにかするか。
「……俺としては、俺が作るよりも、美少女であるテイニーが作った氷の方が売れると思ってな。結局は変わらないんだが、ココの変態どもは意外と気にするからな」
俺がそう言った直後、テイニーが冷気を発した。
隣を見ると、俺のテイニーが美少女であるという発言に赤面したらしく、頭からは煙ではなく冷気が立ち上っている。
溶けそうになっているからとかなんだろうが、それで完全に溶けて消えるなんてことはないといいんだが。
まあ、ソレは俺次第としか言いようがないのかもしれない。
「……テイニーが美少女だと言うなら、テイニーが作った氷で作ったかき氷の一つ目はアヅマが食べてください……」
未だ真っ赤なテイニーが、俺と恋人つなぎをしようとしながらにそう言う。
別に何の問題もないかと思った俺は、そのまま握り返してあげた。
夏空の下にはいいくらいにひんやりとしていて気持ちいい。
「ああ。そうだな」
俺は返答すると、王都の門をくぐってからは速足にして進む。
まだ12人中の誰とも恋人つなぎはしたことがなかったので、もしかすると周囲の人から「まさか、あのアヅマが遂に相手を定めたのか……!?」とか思われてフェイクニュースが拡散される可能性があるからである。
俺としては、美少女と手をつないでいるんだし、ゆっくり進みたかったのだが。
*
俺とテイニーはあの後ギルドに申請し、王都の一角にかき氷屋の敷地をゲットした。
もう俺たちのことを知らない人は王都にいないとでも言わんばかりに、初対面の人である今回の受付嬢の人がすんなりと俺たちを通してくれたのはちょっと驚いたが。
そんだけ人々から信用されていると見てもいいものなのかね。
帰り道に俺たちの恋人つなぎを目撃して言いふらそうとしていたガキをテイニーのウインクで悩殺して気絶させたこと以外は特に何もなく、俺たちは無事に帰ってきた。
その後、俺は『魔法創造』で屋台を組み建てる魔法を創り、明日の準備を始めた。
少なくとも、明日もヤバい人数が集まらないといいのだが……。
次回 Episode071 王都かき氷店、オープン。
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