【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode068 俺の誕生日パーティーとヘルメの入居
Episode068 俺の誕生日パーティーとヘルメの入居
テーブルの上に作り置きしておいたクラッカーを使い、皆は俺たちを迎えてくれた。
初めて見るから使い方が分かるかどうか心配だったが、紐を引っ張るだけだということを理解してくれたらしい。
見た感じだと作った数より一つ少ないが、ソレは試しに使われたヤツだろう。
教えないで心配になっていたってのも変な話だが、それじゃ俺が意図的に作ったものだってことがバレて面白くない。
まあ、見たことがないものは俺が作ったものだってのは分かられていると思うが。
「この音の鳴る道具、使い捨てですがいいですね! こういうパーティーのときにはピッタリです!」
ユイナたちはクラッカーに満足してくれているらしいし、皆の誕生日にもコレは用意するとしよう。
それにしても、誰もヘルメがいることに驚いてないのはどういうことなんだか。
それとも、逆に反応に困ってるだけなのか。
「なあ……。オレって空気扱いかい……?」
「そう落ち込むなって。皆だって俺の誕生日だから、そんな他のことにかまってられないんだろうし、許してくれ」
「やっぱりオレって空気にされてんじゃねえか……」
とか言い合っていると、さすがにユイナたちは無視できなくなったらしい。
俺の手を握ってテーブルへと向かう中、ユイナはヘルメに。
「アヅマくんのお友達ですか? いつもアヅマくんをありがとうございます」
「……オレ、アヅマ君を助けたんだが……」
神だったときのヘルメの姿を俺以外の見ていない人が気付けるはずないのに、ヘルメは誰もが自身の正体に普通に気付いてくれると期待していたんだろうか。
とりあえず、落ち込むヘルメの為に、俺は椅子と食器類を創るのだった。
*
「ま、まさかあのヘルメウス様だとは思わず、申し訳ありませんでした……!」
今さっきまでは、ヘルメと俺の関係を説明していたのだが、ヘルメが俺を復活させた恩人であることを知ったユイナたちは、完全にヘルメに頭が上がらない状態になってしまったようだ。
今はユイナがヘルメに向かって土下座をしている。
……この世界にも土下座ってあったんだな。
ヘルメもそんなことになるとは思っていなかったらしく、苦笑しながら「頭を上げてくれないか? じゃないとオレがアヅマ君に何されるか……」と言ってどうにかことを解決しようとしている。
「なあ、ユイナ。ヘルメはもう完全に神様じゃない。精神生命体になったとか『魔法創造』が使えるからといって、立場はもう同じなんだ。それに、これから一緒に暮らすんだから、そんな感じでどうするんだよ」
俺もユイナの説得に混ざると、俺が言ったからなのか、すんなり頭を上げた。
ちょっと疲れたような顔をした元神様は。
「……アヅマ君。もしオメーがポロッと『誰か世界征服してくれないかな~』とか言ったら、まず間違いなく世界はすぐに滅ぶぞ」
「んな物騒なことは言わんわ」
そんな会話を挟み、俺の誕生パーティーは始まった。
とりあえず、ユイナたちがヘルメを神様だったと意識させないようにする方法を考えておかないといけないかもだな……。
それはともかく、今は楽しむだけだ。
今日の料理は12人で協力して作ってくれたものらしく、色合いの怪しいスープはともかくとして、ソレ以外はかなり高級そうな見た目をしている。
……ただ、明らかに焼け焦げた鳥の丸焼きが一枚の皿の上に鎮座していた。
ユイナの料理は色合いこそアレだが、味は全く問題ないどころか美味しいので、コレはまず間違いなく彼女のミスではないだろう。
と思っていると、テイニーが小さく舌を出して笑いながらに。
「その焦げたお肉は、テイニーが焼いたものデス。絶対零度の精霊には、そのくらいの火加減じゃないと熱いと感じられなかったみたいデシテ……」
「まあ、私と暮らしていたときは、一回も料理させてあげなかったからね……」
ああ、そういうことか。
今のナノックとのやり取りからも、テイニーはそもそも料理をしたことがなかったってのは分かるし、別に食べれんワケじゃない。
とか思っていると。
「それでなんデスが、アヅマの魔法でどうにかならないデスか?」
と、テイニー自身からの提案があった。
……俺としては、誰かが作ってくれた料理に手を加えるのは昔から嫌いだ。
だが、テイニーの望みだというのなら、ソレを叶えてあげるべきなのかもしれない。
まあ、その前にちょっと試すとするか。
コレは俺が料理に手を加えなくて済む言い訳なのだが。
「……俺は、テイニーが自分で作ってくれた料理が食べたいんだ。だから、そこに俺の手は加えたくない。キミがソレを不満に思っても……」
俺がそう言うと、テイニーは少し赤くなった。
……俺への好意を逆手に取っているみたいでちょっとイヤだな。
罪滅ぼしにはならんとは分かっているが、後で頭を撫でるなり何なりしてあげるか。
「……アヅマがそう言うなら、テイニーはいいデスが……」
少しずつ声を小さくしながら、絶対零度の精霊は俯いてしまった。
その様子が可愛いと思うが、ココでソレを言うと、それこそ彼女が溶けてしまうかもしれないし、やめておくとしよう。
そんなテイニーを見て、俺の横顔を真顔で見つめてきていたヘルメが一言。
「さっすが、女誑しの二つ名は伊達じゃないな」
……スイマセン。
次回 Episode069 誕生日プレゼントへのお返しはアリですかね?
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