【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode045 情報収集、俺に本音を言われまくる11人(いつもの皆+ケント)
Episode045 情報収集、俺に本音を言われまくる11人(いつもの皆+ケント)
何なんだよ、伝説の大魔導士様って。
俺は紙にそのまんま書き、ユイナたちに見せる。
すると、想定内というか想定外というかな答えが返ってきた。
「……その大魔導士様は本当に『伝説』でして……。現在も生きているという話はありますが、3000年前からの言い伝えですし、その人のところまで行ってホンネコチョウダケの毒をどうにかしてもらった人はいないらしいです」
……やっぱり無理ゲーだったか。
どうしたらそんな情報が流れたんだか知らんが、デマなんだろう。
いや、前例がなかったらそんな話は流れないはず。
とりあえず、今度は『思念通達』を試すか。
会話する為に使う機関が故障してるだけなら、こうやって思考に影響が及んでいない以上は何も問題はない。
『なあ、聞こえるか?』
『あ、アヅマくん……。魔法でどうにか突破したんですね』
『まあ、な。全員に繋ぐってなると魔力の消費もいつもより多いが、自由に喋れないんだからしょうがない。俺の魔力量からしたら問題ないと思うけど』
さて、問題はここからどうするか、だな。
その大魔導士を世界中から探すってのもアリだが、それはそれで時間がかかる。
まずは情報の宝庫とも言える、冒険者ギルトに行ってみるべきか。
*
「なあ、ユイナ。キミの柔らかい手を握らせてもらっていいか?」
「どどど、どうぞ! お好きなだけお触りください!」
王都の冒険者ギルドに向かう道中にて。
……どうやら、こうやって言葉が発せられるのはオートでらしい。
確かに誰かと手を握りたいとか思ってなかったワケじゃないが、たかだか植物の毒にここまで心を見透かされてるってのは悔しい話だ。
俺は差し出されたユイナの手を握り、そのまま数回ニギニギする。
そして流れるような動作で、カミナスの手も握る。
……手まで浸食され始めたってワケじゃないんだが、コイツが手まで支配し始めたことにしておけば何も問題はないはず。
全員が俺と手を繋ぎたいだろうし、誤魔化す必要はなかったのかもしれないが。
「今更だけど、カミナスってドラゴンなのに柔らかいよな。個人的には、手の握り心地はキミのが一番好きだ」
……コレもウソじゃない。
俺も本心じゃ、確かにそう思ってるからな。
でも、まだこの2人とカカリとマルヴェ以外と手を繋いだ覚えがないのだが。
カカリとマルヴェは儀式の為だったけど。
俺は11人の脳で『思念通達』を接続すると。
『ま、まあ落ち着いて聞いてくれ。カミナスの手が一番柔らかいと思ってるのはウソじゃないんだが、俺はまだ全員の手を握ったことがないから、別にまだはそうとは限らないんだ……』
『それなら、そういうことは全員の手を握ってから言ってよね?』
俺の言い訳が終わると脳内でカカリの声が聞こえ、カミナスと繋ぐ手が外れた。
で、次の瞬間には別の手が握られているのは想定内である。
勿論、その相手はカカリである。
『……後で頭撫でてあげるから、カミナスに謝って』
「あら、ごめんなさい、カミナス。私の手も握ってもらいたくなっちゃって」
まったくのチョロインぶりである。
というか、頭を撫でてあげるのが常套手段になっちゃってるのはどうにかしたい。
いや、俺がそうしたいんだけどね?
「カカリの手も柔らかいな。柔らかすぎなくて、俺は好きだぞ。キミの手」
「そ、そう? アヅマが満足してくれたなら、私はそれでいいんだけどね?」
軽く頬を染めて、カカリは恥ずかしさを誤魔化すように言う。
街中でほぼ無言のやりとりをしている上に、たまに口を開いたかと思えばバカップルもドン引き(?)なことを言っている俺たちは、かなりヤバいヤツ等だと誰もの目に映ってることだろう。
と思っていると、そこにケント率いる友達集団が現れた。
そういえば、最近は全然会ってなかったな。
「よお、アヅマ。見てないうちにとんだ主人公様になっちまったなあ!」
いつもの調子で、ケントは俺たちに近づいてくる。
そこでふと、このままじゃまた勝手に口が何か言うんじゃないのかと思い至る。
女友達なんていなさそうなケントに向かってなら、「それにしても、お前はやっぱり女の1人も釣れないのな」とか言う気しかしない。
というワケで、やっぱりココは『思念通達』だ。
『おいケント! 今、俺はホンネコチョウダケってキノコを食べちまってヤバいことしか言わないから、何言われても怒るなよ!』
「えっ? お、おう、分かった」
急に脳内に話しかけられてビックリしたケントが、意外と冷静に反応する。
さて、俺の口からはどんなコメントが出るのやら……。
「ケントってカッコよくしてればモテると思うんだが。この街じゃただの飲んだくれとしか認識されてないし、クールなヤツに成り変わるんなら別の街に行くんだな」
……あのキノコの毒に侵されてから会う人への一言目はそういう感じになるのか。
それにしても、マイナスなことを言わなかったのは意外である。
もしかすると、そういうのが狙いで作られたキノコだったのか?
「な、何だよ急に。俺は同性愛者じゃねえから、褒められても好きにならねえぞ?」
『ち、違わい! 普通にホンネコチョウダケの効果だわ!』
『思念通達』で反論すると、ケントも思わず苦笑する。
直後、彼が「そういうことなら、俺も王都を出るか……?」とか悩んでいる声がしたが、数少ない男友達のケントには出ていかないでほしい。
確かにケントは、オシャレとかに興味を持ったらイケメンになりそうなんだが。
ただ、酒にしか金を使わないしな……。
あと、本当に周囲から彼が飲んだくれとして認識されているかは謎である。
広い王都でそんなに悪い意味で名の通ってるヤツなんて聞いたことがないからな。
……『つい一ヶ月前に女誑しが出現した』という話を除いてだが。
しょうがないし、このままケントたちに聞き込みでもしてみるか。
『ところで、お前は伝説の大魔導士について聞いたことがあるか?』
「え? 伝説の大魔導士? ソイツって、あの3000年前から継承されてる話の?」
『ああ、そうだ。何か知ってないか? その人しかホンネコチョウダケの毒をどうにかする方法を知らないんだ』
俺がそう『思念通達』で伝えると、ケントは少し頭をひねった。
何か心当たりがあってくれると助かるんだが、たかが一般人に毛が生えた冒険者の1人であるケントが、何か知ってるはずは……。
「……半年くらい前になるんだが、竜騎士やってる俺の旧友が以前、極寒地域ベルーファに小屋があるのを見かけたって言ってたな。もしかすると、人が寄り付かないように、そうやって不便な場所に住んでるかもしれない」
……俺、寒いの苦手なんだけど。
次回 Episode046 【朗報】カミナスの翼を強化する方法、添い寝だった
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