【11万PV,1240F,★170,♡2450】勇者にフラれた最強美少女の『ざまあ』を手伝ったら、急にスローライフが始まりました~俺でいいならお好きなだけ隣にどうぞ~
Episode023 VS宝石人形、そして明かされる恐怖。
Episode023 VS宝石人形、そして明かされる恐怖。
ソイツは、『袋の獣』こと日本の某ゲームに出てきた、伝説の岩の巨人に似ている。
体の大きさや形、見た目が『アイツのクローンか?』と思わせるレベルだ。
ただ、所々から色とりどりの宝石が見えているのが大きな違いと言えよう。
『……オマ、エ、ラ……ハ、コ……ス…』
ん? 今、何て言ったんだ?
こういうときは『コロス』って言ってるんだろうけど、『お前ら』ってのはあくまで人間全体のことなのか、それとも鉱山の作業員のことなのか。
どうであれ、アッチから出向いてくれるのは有り難い。
……それと、クエストだの依頼だので魔物を倒しに行こうとすると、どうしてか向こうから出迎えに来てくれるのは防衛本能の一つなんだろう。
「じゃあ……、戦闘開始!」
俺の声に合わせて、まずはユイナが何かを自らの腕に付与する。
『魔法再現』の解読の結果、アレは『剣術』という魔術らしい。
曰く、コレがあれば、どんな素人でも――一定以上の筋力さえあれば――まともに剣を操れるようになるらしく、基本的には無詠唱の魔術の1つなんだそうだ。
つまり、他にも『柔術』とか『弓術』とかってのもあるってことになる。
確かに、そういう魔法を使えば、トレーニングを積む必要はそんなにない。
相性もあると思うが、ユイナには才能もあったように思う。
「まずはコレです! 『紅蓮螺旋』!」
ユイナが唱えると、ユイナの愛剣【正義剣ユスティミス】――正義の女神として同一視されている『ユースティティア』と『テミス』を混ぜたのが名前の由来なんだろう――に炎が迸り、青く輝く。
あの青く輝くのは、発動させようとしている――『剣術』の開発者が内蔵した複数の――剣術の威力を上げたり、軌道の魔力を吸収して威力上昇を図ったりしている証拠で、正しく剣術が使えているということになる。
そのまま宝石人形を斬りつけたユイナだが、ダメージはどうなんだ……?
「……ハッ、ダメです! この人形、硬すぎます!」
今ユイナが攻撃したのは、宝石人形の足の関節である。
足さえ機能しなくなれば袋叩きにするだけで済む、という勝算でいたのだろう。
だが、どれだけ魔力を込めて作られたのか分からんこの人形は、勇者の右腕として名を馳せたユイナの剣をも無力化したのだ。
……アカン。もう終わってる。
「ちょっ! てっ、撤退!」
こりゃあ21人とかで挑んでも全員が死ぬってことが起こるワケだ……。
俺の声と同時に9人ともが走り出したことに少し安心していると。
『システムコール『魔力砲』発動まで10秒』
……えっ。
機械的な声で、何か宝石人形から聞こえたのは気のせいじゃないよな?
背後を見てみると、宝石人形の頭部に砲台のようなものが出現していて、『解析』を使うと、周囲の魔力を吸収しているのが分かる。
魔力の塊とも呼ばれるドラゴンのカミナスには一応魔力は放出しないよう言ってあったからよかったが、もしカミナスが魔力を開放していたら威力がどうなったか……。
とりあえず、隠れられる射程範囲から外れてそうな場所は……。
って違ーう!
俺がすべきことはコピーだろうが!
「なあカミナス! 俺が合図したら、俺の背中に手を当てて魔力を開放しちゃってくれないか!? この『魔力砲』をどうにかする為に必要なんだ!」
「えー……。どうしてですか? カミタンもご主人様の背中を触れるのは嬉しいんですが、自分勝手に抑えろだの開放しろだの言ったって、カミタンは協力しないで」
「もし無事に帰れたら、キミの言うこと何でも一つ聞くよ! 輝夜姫みたいな想像上のモノを要求しないんなら、できるだけ応えてやる!」
「分かりました! 不肖このカミタン、全力でご主人様を支えます!」
この世界に来てから普通に感じ始めている『他人の話を遮る』をしてから。
……チョロゴンとはこのことだな、と思った。
いや、チョロインとも言うか。
それはともかくとして、もう宝石人形が『8』をカウントしたところだ。
俺は『魔法再現』にて一瞬で『魔力砲』を俺のモノとすると。
「それじゃカミナス。よろしく頼んだ!」
「頼まれました! 魔力、開放ッ!」
すると、周囲の空気がかなり重くなった。
魔力って空中に放出すると、こんなにも重量があるのか……。
そう思っている間にも、背中に触れたカミナスの手から俺に魔力が流れてきている。
……あ、俺の『魔力砲』のチャージ時間は5秒か。
俺の『魔法再現』は詠唱で魔術を組む手間は省くが、流石にチャージ時間まではどうにもならなかったということだ。
まあ、宝石人形から聞こえてきた数字は『6』だから、余裕で俺の方が先に放てる。
5、4、3、2……。
「くらうがいい! エクスプロージョン!」
日本にあったラノベの中二病が好んで使っていた魔法の名を叫びながら、俺の手の先からは『魔力砲』が放たれた。
本当にあの魔法なんじゃないのかと思えるくらいの轟音を響かせながら直進したその魔法は、『魔力砲』を放とうとしていた宝石人形にぶち当たり、爆発する。
砂埃が晴れると、そこには大量の宝石が残されているだけだった。
……またつまらぬ魔法を放ってしまった……。
とか思っていると、その宝石の山の中から、何かが天に消えていった。
すると、ユイナがビクッと震えた。
「……どうかしたのか?」
「いえ……、今、天に消えていったのは……。……テルネモ様の、勇者様の使っていた、情報を解析して回収するタイプの、追跡魔法です」
つまりは、あのゴーレムはあのクソガキ勇者の使い魔みたいなだったと?
……おのれテルネモォォォォォォ!
次回 Episode024 よし、結界を張ろう。王都全体に。
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