それはパンツ……間違えた。
「ゲームって、何すんの?」
『ん、何しよ……なんかしたいのある?』
そう言われても、いきなりは思いつかないよ。
『ん、思いつかないなら私がしたいの一緒にしない?』
雫さんがしたいゲーム?
何だろ、MMOとか? いや、FPSか? もしかしたらゾンビを討ちまくるゲームかもしれないな。
まあ、何が来てもいいけど……できればお金がかからない奴がいいかな~?
まあ、かかったとしても買えばいいか。
一応家にゲーム機は一通りあるし。
そう思いながら、俺は雫さんに尋ねた。
「もちろんいいけど、どんなゲーム?」
『ん、それは、パンツ忍……あ、違う間違えた』
だろうね、それ一人用のエロゲだもん……ってか、何!? 雫さんってエロゲするの!?
……イメージと違うなぁ、いや、ある意味イメージ通り? あ、ヤバイちょっとエロゲする雫さん想像してたらえらいことになってきた。
俺がそう、頭の中で考えていると電話越しに『こほん』と咳払いする声が聞こえて来た。
『ん、ごめん……間違えた、やるゲームは……』
そう言って雫さんは今度こそ、やりたいゲームの名前を告げたのだった。
◇◇◇
『ぎゃあースナイパーに狙われてるー』
「はいはい、処理しにいくねー」
そう情けない声を上げる雫さんの元へと俺は駆けていくが……間に合うかなこれ。
あの後、雫さんが選んだのは、某ガンドァームなバトルなオペレーションなゲームだった。
このゲームを簡潔に説明すると、巨大ロボットを操作して相手チームを『ぼっこぼっこにしてやんよ★』なゲームである。
正直、このゲーム選ばれた時は少し驚いた。
だってこういう時一緒にするゲームって、FPSみたいなゲームだろうなって思ってたからな。
けど、冷静になって考えてみればこのゲームを選ぶのは当然だったと思える。
だって、雫さんの部屋めっちゃこういうロボット系が飾ってあったもん。
俺分かる、あれ絶対オタクだ。
ロボットオタクって奴だ……間違いない。
そう思い、俺は一人心の中で腕を組んで頷いた。
あ、そうそう、似た様なゲームでFPS系の奴についても少し話をした、まあ、FPSゲームって定番だし一応……けど雫さんからは一瞬で却下された。
何でも彼女曰く……
『だってあのゲーム、近接兵装が無いガ〇★ムの皮を被ったクソゲーじゃん』
らしい。
と、超ドライな低音ボイスで答えられた。
……めっちゃ、良い声だった。
まあそんな感じでFPSは却下され、現在俺たちはパーティを汲み野良に入って戦っていたのだが……
『ぐぇう……、なんで私反撃できないのぉ……』
「そりゃあ、雫さん狙撃特化の機体で接近戦仕掛けてるから……あ、墜ちた」
『ぐえぇ」
これがもう、なんというか雫さんの立ち回りが下手くそすぎて、現在試合開始五分で三回も彼女は情けない声を上げて倒されていた。
「……よし、撃破」
『冷静にポイント取っていく……私が戦ってたのに』
俺が敵機体を倒したのを見て、雫さんは恨めしそうに言った。
雫さん全くダメージ入れられてなかったじゃん。
実質俺が一人で倒したんだけどなぁ……まあ、可愛いから文句はないけど。
そう思いながら、俺は一人で敵機体を倒してポイントを稼いでいく。
その横では、狙撃銃を構えてまとまった敵の陣地に突っ込んでいく雫さんの姿が……
くっ、これはもしかしなくても雫さんが死にまくって相手のポイントが上回るか、敵を倒して俺たちのポイントが相手を越えるかの勝負なのか!?
っ……これが、敵以上に恐ろしい無能な味k……
『ん、なんか私の事無能な味方だと思ってない?』
「ゼ、ゼンゼンソンナコトナイヨ~ハハッ↑! 早く敵をたおそー」
『ミ〇キー?』
そんな会話をしながら時が過ぎ……
『やったー勝ったー』
「よっしゃっ、ギリギリ勝てたっ‼」
何とか僅差で勝つことができた。
いや本当、皆さんよく頑張ってくれて……俺一人じゃ、この失点取り返せなかったよ。
ありがとう、野良の人たちまたいつかどこかで……
『ふふ、どうよ私の戦闘センス』
そう感極まる中で、一人雫さんはまるでやってやったとばかりの声を出していた。
「ウ、ウンソウダネー」
……確かに、凄くその、くそ雑魚な戦闘センスでした。はい。
俺がそう思って、可愛いなと思いながら、呆れながら、なんとも言えないような感覚に陥ってる中、通話の向こうの雫さんが『あれ?』と困ったような声を出した。
「どうしたの?」
『ん……なんか、おかしい。私の画面バグってる』
「え? バグってる?」
『ん、なんか解決方法とかない?』
「解決方法って言われても……」
俺あんまり詳しくないからな。
まあ一応調べてみるか?
「どんな症状か教えてくれる?」
俺がそう言って尋ねると、雫さんは症状を言った。
『ん、なんていうか……その』
「その?」
『私の与えたダメージ0ってなってるの』
「ダメージ0ってなるバグね、成程、ダメージ0ってなるバグ……バグ……」
そう思って調べようとした俺の手が止まった。
……ダメージ0、そっか、ダメージ0ねぇ……うんうん、なるほどー。
「ねえ、雫さん……」
『何か分かったの?」
「うん……それバグちゃう」
『え? 違うの?』
俺がそう伝えると、電話越しに雫さんのそんな素っ頓狂な声が聞こえてきたのだった。
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