パンツ以上に凄い事
風呂入って、飯食って布団は言って……スマホを取り出し……
「あ、雫さんから連絡来てる……って」
『今日来てくれたのにごめん、パンツ渡し忘れてた』
という言葉と共に写真が送られてきていた。
「今日はもう、パンツ以上に凄い事されたよ……」
そう言いながら俺はどう返そうかと悩む。
パンツの写真送られて、悩まないわけないからな。
……なんて返そう。
少し思案してよくわからないスタンプを送っておいた。
「……なんだかよくわからんが、これでいいだろ……いいよな?」
ヤバい、今更ながら凄い心配になってきた。
雫さん変に気が悪くなってないかな?
そう思っていたら雫さんもまた、変なスタンプを送り返してきた。
……どうなんだろ、気悪くしたかな?
そう思っていたら『明日学校行ってパンツを渡せるようにしたい』とかえってきた。
「『早く元気になれるのを願ってます』パンツに関しては……本当、どう返信すればいいんだろうな」
そんなことを思いながら、俺と雫さんのライン上の会話が続いていく。
……気が付けば、二十分、三十分と……会話を始めて一時間以上が経過していたころ、雫さんの反応が切れた。
「……あれ? 雫さんの既読ついてるけど、返信帰ってこないな?」
もしかして、送った文章がまずかったとか?
そう思って見てみるが、先ほどまでしりとりしていた流れで雫さんが『ラブゴリラ』と出した後、俺が『なんだその生き物は』と突っ込んだ、いたって平凡な一文だ。
……なんか歌詞みたいだな。
そう思っていると、俺のスマホが鳴った。
「ふぇっ!? 電話……じゃなくて、LINE通話か。一体誰から……って、雫さん?」
いきなり音を立てたことに驚いた俺は、スマホの画面を見てさらに驚く。
雫さんが通話?
戸惑いつつも、通話に入ると雫さんの声が聞こえて来た。
『ん、文字うつの大変だから通話繋げた』
そう言った雫さんは、良く通る声でそう言った。
『あ、忘れてた……今時間大丈夫?」
「え、うん全然大丈夫だけど……」
俺がそう言うと、雫さんは何処かホッとした様な様子で提案した。
『ねえ、このまましばらく話ししよ?』
そう、何処か寂しそうな声で言った雫さんの言葉を無視すると事なんて俺にできるか?
出来るわけがない。
「う、うん……いいよ。けど体の調子大丈夫なの?」
『ん、もーまんたい』
俺が尋ねると、雫さんはそう言葉を返した。
そっか、まあ身体の調子が問題ないならいいのかな?
けど、何話すんだ?
「……しりとりするの?」
『もう飽きた』
「あ、うん……そ、そっか」
そう言って俺と雫さんの通話はシーンと静まり返る。
え、えっと……どうすればいいんだ?
何を話せばいいんだろうな?
うわっ、凄い言葉が浮かんでこない。
ただただ静かな時間が過ぎる。
「……あ、あの」
『何?』
「い、いやー……なんか、会話のネタ無いかなー、みたいな」
『ん、丁度私も同じこと思ってた。なんかネタない?』
「そ、そうだねーうーん」
そう言われても、思いつかない。
ただただ、何も言葉を発さない気まずい空気が漂い、俺がどうしようかと頭を悩ませていた時、雫さんが一つの提案をした。
『ねえ、一緒にゲームしない?』
と。
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