ヤる覚悟とパンツを貰う常識
『ヤるの?』
これは、どういう意味か……どういう意味だ?
パンツをやるという事か?
いや、違うな……もう、それは常識だ。
いや、常識でもないが……とにかく、そう言う意味じゃないだろう。
……ふむ、『ヤる』という言葉は便利だ。受け取り方次第でいくらでも変化する。
例えば何かをするという事に『何かをやる』と言ったり、殺ると書いて『ヤる』と読んだり、そして………性的な、その……そんなことをするときに『ヤる』っていったりする。
この『ヤる』は果たしてどの『ヤる』なのか?
誰かを消すのか? いやそんなわけない。一瞬ハーレム男とゴキブリが頭の片隅にちらついたが、気のせいだろう。
なら、何かをやるの『ヤる』なのか?
いや、だとしたら、何故カタカナなのか……きっとこのやるも違うだろう。そうだと思う。
だったら、何か? これは……そう、性的な、その……チョメチョメするあれの事、なのか?
そうなのか?
「……あれ? ここは一体どこだ?」
そんなことを思って、いると気が付けばどこかの扉の前に立っていた。
「あ、そうか。今日は雫さんと一緒に学校に行くんだったな……」
そう思って目の前の扉を見ると、成程……何か違和感を感じるが間違いなく雫さんの家の扉で間違いなさそうだ。
俺は、雫さんの家の扉に触れて扉を開けようとしたその時……扉が勝手に開き、細い腕が俺のことを中に引きずりこんだ。
「おっ……」
驚きつつ、中に入った俺は引きずりこんだその人物を見て、焦りを募らせた。
「え、雫……な、ななな……」
俺を家に引きずりこんだのは全裸の雫さんだった。
生まれたままの姿になっていた雫さんはいつものように俺を見て、小首をかしげた。
「ん……しよ?」
「え、あ……」
「ね?」
そう言った雫さんの手が俺の背中に回り……俺は………
◇◇◇
俺は、ベッドから飛び起きた。
「は、夢か……」
……そうか、夢だったか……なんか、凄い勿体ない気持ちだなぁ。
そう何とも言えない気持ちで、スマホの画面を見ると俺が送った『ヤらない。』という言葉と、『間違いましたという言葉』……それに対して贈られる『だよねー』という雫さんのスタンプが送られたトーク画面が表示されていた。
「そうだよな、俺ヘタレだからヤりたいですっていうわけ無いもんな……雫さんも……」
雫さんも、ヤるって言ってすんなりと受け入れてくれたりするわけない……
「いや、本当に受け入れてくれなかったのか?」
そう思って、トーク画面をボーっと眺める。
あのまま、ヤるって返信していたらどうなっていたんだろう……
もしかしたら本当に、夢みたいな……
そう思うと、俺の下半身が元気になる。
「……ワンチャンもう一回寝たら続き見れないか?」
そうと決まればもうもう一回寝て……
「あ、そう言えば今の時間何時だ?」
そう思って、ふとスマホの時計を見ると時刻は既に8時を回っていたのだった。
◇◇◇
「やっべぇ……やらかしたっ‼」
急いで着替えて、荷物を持った俺は靴に履き替えて外に出る。
「ちょっとー、兄ちゃん朝ごは……」
ガチャンと扉を閉めた時、遥の声が聞こえた気がするが……今はそれどころじゃない。
「今何時だっ⁉」
そう言って時計を見るとすでに10分すぎている。
「っ……マジかよ」
俺は思い切り地面を蹴って走り出す。
失態も失態だ。
くそっ……
角を曲がり、何時もの道を駆け抜ける。
「はぁ、はぁ………」
わき腹がいてぇ……
角を曲がり、雫さんの家に着くと、そこには雫さんの姿はなかった。
「も、もしかしてもう行っちゃった?」
そう思って時計を見ると、もうすぐHRの時間だ。
完全に手間取った。
もうきっと雫さんは呆れかえって、学校に向かっていることだろう。
クソっ……なんで、なんで俺はこんな失態を犯してしまったんだ。
そう、嫌な気持ちになりながら俺は一人、学校へと向かう。
……本当なら、今日は雫さんと一緒に登校できるはずだったのに。
そう思いながら学校へ着いた俺は、靴を履き替え教室へ向かい、雫さんを探した。
謝らなきゃと……そう思って、教室を見渡した俺だったが、皆が集まる教室の中に彼女の姿は無かったのだった。
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