好きな子のパンツ貰ってるし。
雫さんを家に送った後、速攻家に帰った俺は、やることを終わらせ現在時刻は午後8時
気分は上場、まるで遠足に行く前日の小学生並みに心がはしゃぎまくっていた。
「……良し」
俺は明日の準備を済ませ、スマホを見る。
「……明日、8時に雫さんの家に行きます……これでいいか?」
本当にこれでいいか?
他になんか、なんか言葉を付け足した方が……いや、これでいいだろ。
「スタンプとか付けてもいいけど……いや、これは無しだな」
スタンプを漁ってみたが、丁度いいスタンプはなかった。
ってかなんで、対魔な忍のスタンプ俺持ってんだよ……勝った覚えないんだけどなぁ?
なんて思って、スタンプを漁っていた時……後ろから「わっ」と声がかかった。
「うわっ⁉」
「にししー兄ちゃんびっくりした~?」
振り返るとそこにいたのは、ふわふわもこもこのパジャマに身を包んだ遥だった。
「兄ちゃん今何してたの~?」
「いや、えっと……そう、ちょっと友達とラインをな?」
そう言うと遥はまるで天地がひっくり返ったかのように驚き目を見開いた。
「え、お兄ちゃん……友達いたの? ずっとぼっちだと思ってたのに!」
「なっ……失礼な! 友達くらい……友達くらいいるし……」
「何人?」
「……一人」
「友達全然いないね!」
「グハッ」
そう言って落ち込んだ俺は、スマホを落として砕け散った。
た、確かに……友達全然いないけど……いないけどぉ……。
「別に、今楽しいし……充実してる、し」
「本当に?」
「本当だとも!」
だって好きな子と友達になってる上に、好きな子の家に遊びに行って、そして……そして、す、すすすすす、好きな子のパンツ貰ってるし。
充実してないわけが無かろうに!?
「……友達、紹介しようか?」
「紹介?」
「うん! 僕のネッ友‼」
そう言って遥は自信のスマホを取り出した。
「それは……?」
「これはねー僕が配信活動とかしてる時に知り合った子たちと一緒に作ったグループで……」
「ちょっと待て、配信活動? お前、配信者してんの?」
「そうだよ? 知らなかった?」
「うん」
「ガーン」
そう言って遥は、少女漫画顔負けのショックを受けた。
「それで? そのグループがどうしたんだよ?」
「ん、あ……えっと、それでこのグループの子たち紹介して、お兄ちゃんの友達に……」
「却下で」
「えーなんでぇ?」
そう言って遥は頬を膨らませた。
「いい子たちだよ~? 特にこの雨女さんとか~」
「そりゃあ、いい子たち何だろうとは思うけどさ……でも、いきなり見ず知らずの奴が入ったら、それは、あれだろ?」
「あれって何さ?」
「あれって言うのは……なんていうか、気まずいだろ?」
そう言って俺は苦笑いを浮かべる。
それに、この人たちは遥の配信活動で知り合ったってことは、配信者仲間……配信者じゃない俺が入る隙間なんてねぇだろ?
「そっかぁ……」
「そういう事だから俺に友達を無理に紹介しなくていいよ……まあ、お前なりの優しさだってのは分かってるけどさ」
「兄ちゃんっ」
俺はそう言うと遥の頭をなでた。
「それじゃ、そう言うことだから……俺は……は?」
そう、なでながらスマホの画面を見た俺は愕然とした。
俺のスマホの画面には雫さんとのトーク画面が表示されていた。
そしてそのトーク画面には俺から雫さんに贈られた、対魔なスタンプ。
寄りにもよって、『ヤる?』と書かれたちょっとエッチィ奴。
何時だ? 何時、俺は……これを送った?
「っ……」
いや、そんなことは今はどうでもいい。この状況をどうやってリカバーするかだ。
何だ、何かいいスタンプを……文章を送らなくては……
そう思考を巡らせていた俺だったが、どうやらもう手遅れのようだ。
既読がついた。
「うわーーーーーーやっちまったーーーーー!?」
やらかした。
どうしよう、そう焦り、叫ぶ俺のスマホの画面に……雫さんからの返信が届いた。
一体どんな引かれ方をしているか、恐る恐る画面を見た俺が目にしたものは……
『ヤるの?』という恥じらう対魔なヒロインのスタンプが送られてきている画面だった。
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