パンツ丸出しのお姉さん
「……うぅ、又負けた。おかしい、なんで勝てないの……」」
そう言って、雫さんは肩を落とした。
◇◇◇
……数分前。
「……しよ?」
そう言って雫さんが見せたのはスマッシュな対戦ゲームだった。
「私、これ強いんだよ」
そう言って笑顔で言った雫さんは、小さくドヤ顔をしていた。
◇◇◇
……そして現在、またもや雫さんのキャラは撃沈した。
「……嘘だ」
「えっと……」
なんていえばいいのかな?
そう、言葉に詰まる俺を雫さんは涙目で睨みつけ……そして、コントローラーを握った。
「むっ……もう一戦。今度は負けないから」
そう言って彼女はキャラを選ぶ。
「あ、あはは……」
そう言って俺もまた、キャラを選ぶ……苦手なキャラを。
ぶっちゃけ言おう。
雫さんは、弱かった。
滅茶苦茶弱かった。
どれくらい弱いかというと、適当に攻撃ボタン連打してるだけで勝てるくらい弱かった。
……始めは得意と言ってドヤ顔だった雫さんだが、やっていくうちに負けを重ね現在は泣き顔でキャラを操作している。
正直、そろそろ負けてもいいよなって思っているのだが、滅茶苦茶手還元して攻撃をせずとも雫さんは自滅する。
ならば先に俺が自滅すればいいと思うだろうが、そうも行かない。
なぜならば、自然を装って先に自滅しようとする俺よりも前に雫さんが自滅してしまうからだ。
……マジで、なんというか先に負けるための難易度がルナティックすぎる。
どうやったら敗けれるんだろうな?
そう思っている俺の前で、また雫さんのキャラは自滅したのだった。
◇◇◇
「うぅ……嘘だ、嘘だぁ……」
そう言って雫さんはベッドに寝っ転がって拗ねていた。
「えっと……ごめん」
「……グハッ」
俺がそう言うと、雫さんは仰向けになって心臓に凶器が突き刺さったかのような動きをした。
……ちょっと面白い。
「ん……やめて、凄い惨めな気持ちになる」
「あ、うん……ごめんね?」
「グハッ」
そう言うとまた、同じ動きをした。
……なんだろこの気持ち、愛おしいような。
あ、分かったこの気持ち。あれだ、動画サイトに上がってる猫とかの動画見てる時の感覚だ。
あの愛おしくて、癒されるような……なんか、しっくりきた。
「うぅ……なんてそんなに強いの?」
いや、強いというか、雫さんが弱すぎるだけなんだよな。
……なんて思ったけど、どう答えるべきだろうか?
正直に言うか、雫さんってス〇ブラの腕に自信持ってたから、できるだけ傷つけずに言うべきなんだろうか?
いや、でも正直……な?
なんて思って思案していた時だった。
扉が開き、何かが部屋に飛び込んできた。
「え、何!?」
「ん……え?」
飛び込んできたその小さな青緑のその塊は、戸惑う俺と雫さんの前で飛び込んできた、存在はまるで人間のように立って周りを見渡すと雫さんのベッドの下に飛び込む。
「ねえ、今のって……」
何?
そう俺が訪ねようとした瞬間、また部屋の扉が開いた。
「雫ー……ねえ、この部屋にフタバ来なかった?」
そう言って入ってきたのは、大学生くらいの女の人だった。
「あ、お姉ちゃん」
雫さんは彼女を見て、そう呟いた。
……姉?
雫さんからお姉ちゃんと言われたその女性を改めて見てみれば……なんとなくだが、雫さんと似ている雰囲気を纏っている。
そんな彼女だが、俺は見て……固まってしまった。
何故かというと彼女が下に来ている物が何故かパンツだけだったからだ。
大人な、薄いピンク色のパンツだ。
「いやぁ……なんか、着替えてたらフタバが私のズボン取っていっちゃ……て」
彼女はそう言うと、部屋を見渡し……そして、固まっている俺と目が合った。
目と目が合い、少しの間きまづい沈黙が流れ……
「……ひっ⁉ 男の人」
そう言って彼女はバタンと扉を閉めたのだった。
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