背景に光るパンツ

 二回に連れていかれた俺は、手を引かれるままに廊下を進み『雫』と書かれた部屋の扉の前についた。


 ここが……雫さんの部屋。

 ゴクリ。


「……入って」


「あ、うん……お邪魔します」


 少しの緊張と共に俺は部屋に入ると、ふわっと甘い匂いがして可愛らしい小物が広がる空間がそこにあった……なんてことはなかった。


 いや、甘い匂いなのは確かだったんだが、なんというかおかれている物はラノベとかで書かれるような女の子の物じゃなかった。


 机とベッドが当たり前にあり、彼女の部屋には他にパソコンやテレビ、ゲームなんかが置かれている。

 最新型の五代目のテレビゲーム機と、携帯ゲーム機。

 ……カセットは壁にズラーッと並んでおいてある。


 それを目で追っていくと、ガラスの戸棚に目が移った。

 透明なガラスで覆われたシンプルなその戸棚は、間違いなくコレクションを飾るために作られた物だろう。 


「……凄」


 ガラスの戸棚の中にあったのは人形じゃなく……リアルロボットのプラモデルが飾られてあった。


 メガサイズって奴だろうか?


 ほら、あのでっかい奴。

 キラキラ輝いてて、カッコいいけどめっちゃ高くて買えないみたいなプラモデル。


 それがドーンと仁王立ちして飾られている。


 ……塗装とかはされてないけど。


 と、そんなロボットのプラモデルがメガサイズ以外のMG、HG、RGの機体が置かれている。


 そんな機体たちを目で追っていけば、次に見えてきたのは歴代戦隊ロボたち。

 それがズラーッと並んでいる。

 

 てんこ盛り合体がされていて並ぶ姿は正に圧巻。


 糞かっこいい……まあ、なんか背景に何故か飾られているパンツに目をつぶればだけどさ。


「ん……ごめんねあんまり、女の子っぽい部屋じゃなくて……」


「あ、うん……いや、そんなこと……ないよ」


「……おかしいよね。女の子がこんな……集めてて」


「い、いやそんなこと……むしろ、その……」


 確かに思っていたのとは違ったけど、むしろこれはこれで……素晴らしい寄りの凄く良い。

 ……女の子の匂いもするし。


 って、変態か俺は。


 そんなことを考えて言いよどんだ俺の顔を雫さんは覗き込んできた。


「……何?」


「え、いや……なんていうか、…いいなって」


 うん。

 正直な感想だ。


「……そう」


 雫さんがそう答えて、俺達は少しの間黙っていた。

 ……気まずい。


「……ねえ、二人っきりだね?」


 そう言って彼女は俺に近づいてそう言った。


「二人っきり……」


 そう言えば確かに今の俺と雫さんは二人きり……ま、まさか。

 ゴクリ。


「……男の子って、こういうの好きなんでしょ?」


 そう言うと、彼女はゆっくりと歩いてベッドに座ると……


「……する?」


 そう言って小首をかしげたのだった。


◇◇◇


「ん、あ……そこ……」


「くっ、雫さんっ……締め付けがヤバいって」


「……そんなのっ」


「くっ……いくぞっ‼」


「ん、駄目ッ……」


「よっしゃっ! 溜まったぜEXスキルっ!」


 そう言って俺は、必殺技を放ち雫さんのキャラクターを場外へと吹き飛ばし俺の勝利が決まった。


 ……え? 何してるのかって?

 そりゃ、勿論ゲームですが?

『ス●ブラ』ですが?

 

 普通に健全なゲームですよ?

 エッなことしてませんよ? ええ。


「……どうしたの?」


「いや……」


「もしかして……Hしたかった?」


「っ……い、いやそんな、そんな……」


 まあ、正直したかったですけどね……

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