風に吹かれて見えたノーパンツ


「来た」


 そう言って、彼女は振り返る。

 静かにたたずむ、銀髪の少女。

 まさに清楚を被った、愛らしい美少女。


 彼女は徐に自分のスカートへと手を入れて……


「……それじゃあ」


「ちょ……ちょっとまって」


 そう言って俺は、パンツを脱ごうとする彼女を止めた。

 何故って? そりゃ言わなくてもわかるだろう?


 だって、常識的に考えておかしいからだ。


 パンツを人に……しかも異性に、更には話したことすらなかったただのクラスメイトに渡すなんて。


 おかしすぎるしッ‼


 ……まあ、正直言えばうれしいけどさ。


「いや、あのさ……そう言うのってやめた方がいいと思うし……そもそも、さ……その……貰っても困るだけだし……やっぱりさ」


 そう言って俺が、パンツを貰うのを拒否しようと……もごもご言っていると彼女は首を傾げて一言。


「欲しくないの?」


「欲しいです……あ」


 思わずそう言ってしまった。

 

「そう、ならあげる」


 俺の答えに彼女はどことなく嬉しそうにして、脱ぎたてのパンツを渡してくる。


 まだ暖かくて、暖かい。

 匂いも……する。

 そして、湿ってる。

 

 エッチで、情熱的な赤パンツは、俺の手の中でしっかりとその存在を確かに主張しまくっている。


「それじゃ……」 


「……ねえ、なんで俺にさ……その、ぱぱぱ、パンツを渡すん……です、か?」


 パンツを渡して、去って行こうとする彼女に俺が思わずそう尋ねた瞬間、彼女の動きが止まった。


 やばい……聞いちゃダメな奴だったのか?


 そう思って彼女を見ていると顔がみるみるうちに赤くなり、目を泳がせ、顔をそらした。


「ん……それは……その……」


 彼女はそう言って、下を向いて一言。


「馬鹿」


 彼女はそう言った。


 あれ? これ、俺……怒らせた?

 いや、怒らせた反応ではないのか?

 いや、怒らせた反応だろうな。


 ……あれ? これ俺がおかしいのか?


「とりあえず……明日も、ここにきて。絶対」


「え……」


「それじゃ……あ」


 そう言って彼女が去ろうとした時、見計らったように風が吹いた。

 吹き荒れ、巻き上がった風に巻き込まれ、雫さんのスカートが捲れた。


 あまりにも唐突過ぎて、視線を逸らせなかった俺は見てしまった。 


 細く確かにその存在を主張する鼠径部、そこから辿っていくと、その先にあるのはツルツルのアソコ。


 あれか、まさか、女の子の大切な……雫さんの……雫ちゃんのアレなのかッ⁉。

 ……いや、まてアレは本当にアレなのか? いや、確かにアレだろう……きっと。


 あれ? なんかぬ……


 そうフリーズする頭でそこまで認識した時、バサッと恥部はスカートで隠された。


「……見た?」


「見てな……」


「見たよね? 見たんだよね?」


「……はい、見ました」


 そう頷くと、彼女は真っ赤になった顔で……


「……変態」


 そう呟き、振り返って走り出して……数歩歩いて振り返る。


「……明日も、また来て。絶対に」


「あ、はい」


「来なかったら、社会的に殺す」


「………マジ⁉」


 そう言い残して雫さんは、何処かふらふらとした足取りで去って行く。


「あ、危ないっ……大丈夫なのかな? アレ?」


 っていうか、最後の一言……完全に脅しだよなー。





 ……うれしいけど。

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