開花

この日もいつものように、拾ってきた穴の開いた服に「補修」をしていた。

いつもなら、穴の開いた部分が塞がって、普通に着るのに問題ない程度に補修されるはずだった。


それなのに、スキルを使った瞬間服が光始めた。

光が収まったあとに服を見てみると、なんと新品同様になっている。


最初、どういうことかわからず補修前の服を探し回ったんだが、どこにもなかった。



ようやく、落ち着いてきて目の前にあるピカピカの新しい服がさっきの服だと思い至ったとき更に混乱した。



だって、おかしいだろ?

まるで神の奇跡みたいじゃないか!

だから、スキルが進化したんだと気づくまでに一日かかった。



そう、今だ。

寝て起きても服はピカピカのままだったし、試しにいつも使っているヒビの入ったコップにスキルを使ったらまたピカピカの新品になったんだ。


一般的にスキルが進化するのは、何度も死線を潜り抜けた歴戦の猛者や国に表彰されるような熟練の職人だとされているんだ。


まさか、俺の、しかもハズレスキルとバカにされ続けたスキルが進化するだなんて夢にも思わないじゃないか。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る