スラム街のおっさん~長年使い続けたスキルが開花して人並みの生活を送る~

アルミ

スラム街

俺の名前は、シード。

この街のスラムに生まれて35年程。

今にも崩れ落ちそうな古い家に住んでいる。

毎日、ギリギリの生活ではあるが、「補修」というスキルを授かったお陰で、ここまで犯罪者にならずに生きてこれた。



スキルは、一人にひとつ生まれた時に授かると言われている。

しかし、その中には所謂、当たりスキルとハズレスキルと呼ばれるものがある。

主に戦闘か生産に役立つタイプのスキルが当たりとされ、何に使えるかよくわからないものや、お金を稼げなさそうなものはハズレになる。

俺のスキルは残念ながらハズレスキルに入れられる。



しかし、人からなんと言われようと、物を買えない俺には壊れても「補修」して使えるっていうのは本当にありがたい。

それに、壊れた物を補修して小銭を稼ぐこともできるし、捨て場にあった物を補修して使ったり、売ったりすることもできる。


ただ、俺の魔力が少ないからか、補修の効果は最低限使える程度に直るだけで、一日に直せる量も2~3個が限界だ。


それでも毎日コツコツ直し続けている。

捨てるハズの物が、少し「補修」するだけでまた使えるようになるのは、なんだか嬉しくて。

貧乏くさいと思われるが、貧乏だから仕方ない。


それに、「補修」を頼まれた時、また使えるようになると笑顔で感謝してくれるんだ。

こんな俺でも人の役に立っているんだと思うとなんだか誇らしく思えるんだ。

だから、このスキルを授かったことを感謝している。






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