第2話

 戦闘奴隷、役割は魔物、盗賊等との交戦、もしくは囮。

 何故アタシがこれになったか、逃げ脚に自信があったから。

 だが、ここで奴隷商人からあたしが知らなかった情報が教えられた。

 それは奴隷解放条件の一つ……戦闘貢献における報酬が高く設定されているとのこと。危険な魔物を発見した場合、その報告でも報酬が出る。

 どの魔物と出合ったか等の戦闘に関する情報は全て奴隷紋に情報として記載される。どんな仕組みかは知らないが、一説には魔力を感知する、視覚情報をも奴隷紋は把握するらしい。

 不当に殺されたりした場合、確実にバレて死に至らしめるに至った関係者全てが奴隷墜ちする位には強力で信用のある魔法だ。

 だから、仲間に殺されることはまずないだろうとの事。

 危険な役割を当てられる戦闘奴隷は、早く死ぬ可能性が高いが早く自分の身柄を買い取ることが出来る。

 アタシの場合、20万ゴルドで買ってもらったので大体、一回1万ゴルドの最低20回は戦闘に参加しなければ解放はあり得ない。

 まあ順当に行けば一週間に一度の狩り、長期間でも二十週くらいで解放されるのではないかということだった。


 でも残念。結構な屑に引き取られたっぽいです。

 親切に教えてくれた奴隷商人のおじさんには感謝してるけど、こいつらはアタシを最長でも十回で使い潰すつもりらしいからね。


 そして出会ったのは、結構ヤバい敵みたい。

 


 森の奥深く。いきなり奥深くまで行くなよって愚痴は止めとく。

 切り拓かれた土地に巣喰っていた魔物を見つけてしまった。

 これは俗にいうピンチだ。

 なぜなら斥候役のガガとやらの顔色が青を通り越して白くなっているからだ。


 目の前にいるのは何とも醜い顔をした人型の魔物である。

 ブタっぱなにごつい筋肉質な体躯。薄い体毛。

 ピンクに近い皮膚。

 二足歩行で、斧や槍を持ち歩いて警戒しているその魔物の名前は豚鬼オーク


 一体でも三人から四人掛かりで倒さないといけないのが、二十匹はいる。

 

 バレたら死ぬ。バレなくてもこの数が襲ってきたら庶民区を食い破り、石壁も壊され領民にも被害が出かねない。

 止めるのに騎士団なら120から150人は引き連れて掃討する案件なのだ。

 

 覚えたてのハンドサインで速やかに撤退と指示を受ける。

 慎重に、一歩、後ずさる。

 音を出してはならない。

 ここ二時間以上潜らされているが、今が一番集中している。


 そこでパキっと、音を鳴らしてしまう。

 お決まりの展開。でも鳴らしたのはアタシじゃないよ?

 ヘマしたのは斥候おじさん。

 ガガは中腰姿勢だが、大人だ。

 小柄な方と言っても、大人の中での話。

 アタシは茂みで見えないけど、音が鳴ったなら視るよね。

 そして目と目があって恋が生まれる。

 

『bumoxoooooooooooooooo!!』


 うん、これは恋じゃない。

 完全に。

 アタシ達は即座に反転、後退。

 猛ダッシュよ。

 兎に角、走って走って走り抜いた。


「くそが!てめえ!囮になれ!!」


 盾と剣の戦闘奴隷紋が赤熱する。

 そういう命令が下ったのだ。

 奴隷は命令を効かなくてはならない。

 奴隷紋が赤熱反応するのは命令が下された証拠。

 命令に背くと、息苦しくなる。

 胸が締め付けられるんだ。今みたいにね。


 だから、両手を振って、もう一人いることをアピールする。

 これで命令には従ったことになる。

 囮として、敵愾心を煽ればよいのだから。


『bumoxoooooooooooooooo!!』


 うん、ばっちり。

 赤熱反応は収まり、命令は遂行中との判断が下された。


 これで逃げられるってもんよ。

 しっかりと追いかけてくる二頭の豚鬼。


 足は向こうの方が早い。

 だから隠れる。

 土と葉を体になすりつけ、体臭を消し、出来るだけこそこそとアタシが知っている一番近い隠れ蓑の場所へ。

 そこは直径5mくらいある大木の根。そこにアタシくらいの子が一人分すっぽり入れる穴蔵がある。これはアタシが三年間、狩りに参加して無事に過ごせるように作った安全地帯の内の一つだ。因みに穴は普段は茂みや落ち葉を利用して隠してある。


 アタシと斥候野郎は命令後すぐに別れて逃げたので、豚鬼も別れて捜索しているらしい。

 付いてきたのは一匹だけ。

 知能の高い魔物の代表みたいな奴がドリトル村にいたのは驚きであったが、まさかこんな急に……なにも奴隷初日に遭遇しなくてもいいだろうに。


 アタシは見たことないけどこの世界の神と崇められているイシュラス神が、ほくそ笑んでいるのを幻視したような気がして碌に知りもしない神に心の中で悪態を吐く。

 

(勘弁してよね!!バカガミさんよお!!)


 まあ、チート能力の一つもない。

 生まれも裕福ではない。

 八歳にして奴隷として身売りしなきゃいけない境遇になったら誰だって神を罵りたくもなるもんだ。

 

 

(どうにか撒いたみたいね。)


 豚鬼はアタシを見失ったのか、迅速に来た道を引き返していく。足音が遠ざかっていくからそう判断しているが念の為、十分は休憩だ。

 直ぐに戻って斥候おじさんの尻拭いするのも嫌だしね。

 出来たら、未到達領域だった部分にもアタシ専用の安全地帯を作り上げたい。

 

 そう思い、アタシは豚鬼達がいた集落付近に穴蔵を作りに向かった。

 魔法は一人一つだが、《スキル》は経験で身に付く。

 アタシは《穴掘り》スキルがある。

 だから、簡単に自分一人がすっぽり入れる穴を作るのはお手の物だ。このスキルは安全地帯を十作った時に手に入った。

 一から全て作ったわけではない。元から自然にあった(?)作りやすそうな場所からちょっと手入れしただけで直ぐ使えそうな場所を含めて十個だ。

 

 一から作ったのはスキルが生えてから。

 今では、三十個は浅い場所からこの中腹辺りに安全地帯を設置してある。

 

 安全地帯—―拠点で身を屈め丸めることが多いせいで《軟体》のスキルも手に入っている。

 

 それと《逃げ足》。

 このスキルで素早く逃げることが出来る。


 唯一の攻撃スキルは《投擲》。


 五歳の頃より死線を潜ってきた。

 三年間で手に入れたスキルは《穴掘り》、《軟体》、《逃げ足》、《投擲》の四つ。

 

 まあ、ジョブが《村人》なのだ。

 命懸けの三年間を過ごしても得られたスキルはたかが知れてる。

 でも馬鹿にしちゃいけないよ?

 この四つがアタシを生かしてくれてるんだから。

 

 深域の森

 

 二つ東西に一個ずつ安全地帯を作ることに成功。

 この間、豚鬼が警戒しているのが遠目に見えて、玉のような大粒の汗をかいた。


 斥候おじさんが居なくなったお陰で、豚鬼の数を正確に数えることが出来た。

 確認できたその数、五十二。


 遭遇と此方の姿が露見するのが早すぎたから、あの時は二十くらいだと思ったが、やはり他にも居たみたい。


 この情報を持ち帰り、アタシは一回目の戦闘奴隷としての任務を終えることにした。


 

 森深くから引き返すと、連中はいた。

 良かった、置いて帰った場合も考えられたから。

 斥候おじさんもいるようだ。

 

「ただいま、帰還しました」


「おせえぞ!!なにしてた?!」


 バンダナイワシが怒鳴りつけてきた。

 他のメンバーも、「トレェ」とか「鈍足ちゃん」「つかえねえ」、「はぁ…。」と悪態や溜息を吐いたり様々だが、皆冷たい目で見てきたのは同じ。


 アタシは、素直に謝っておく。


「それじゃ、豚鬼オークの発見をギルドに報告だ。これで十万ゴルドは貰えるぞ。」


「ひゃっはー!」

「うし!」


 と声が上がる。


 危険な魔物の報告は高いらしい。


 アタシ達は冒険者ギルドと傭兵ギルドに立ち寄ることになった。最初に来たのは冒険者ギルド。


「南のドリトル森の深域で豚鬼が二十体居たのを確認した。」

 

 受付でバンダナイワシが情報量を得るために報告する。

 ギルド内でたむろしている冒険者が聞き耳を立てていたようで騒めきが起こる。

 

「確認が取れ次第、報酬に十万ゴルド情報量を渡します。このことは傭兵ギルドには?」


「いや、まだだ。」


「では、其方の方にもお願いします。私はギルドマスターと騎士団にも報告しなければならないので。」


「わかってるよ。んじゃな。」


 バンダナイワシ達が冒険者ギルドを出ていく。

 受付のお姉さんも忙しそうだ。

 アタシは正確な数について、一応報告しておくことにした。


「お姉さん、ちょっといい?」

「ん?あたしちょっと忙しいのよ。ごめんね」

「アタシも忙しい。だから簡潔に伝える。さっきの豚鬼、二十じゃなくて最低五十二。五十二体は居るから。じゃ。」


「え?」


 ぽかんとした顔で此方を見ていたお姉さんが何か言ってるけど、アタシもバンダナイワシ団に付いていかないといけない。

 暴力は振るわれないだろうけど、どやされる可能性はある。

 だから受付のお姉さんの呼び止める声は無視。


 幸い、アタシが少し遅れてたのは気づかれてなかった。

 安堵のため息が漏れた。


 それを見られたらしく、「この程度の歩みで疲れたのかよ」と斥候おじさんに呆れられた。

 疲れたんじゃなくて、遅れてたのがバレてなくて良かったの溜息だよ、って言い返したかったが面倒なので、そう言う事にしておいた。


 傭兵ギルドでも同じように報告をした後、慌ただしくなる職員と一部の傭兵達。

 間違った情報は此方でも同様に訂正しておく。

 此処でも呼び止められたが、無視してすぐにバンダナイワシ団を追いかける。


 酒場で団員達が飲み食いしている。

 衣食住は一応保証しなくてはならない。

 ので、ちゃんと御飯は支給される。

 黒パンと骨付き肉一本。

 栄養の偏りが半端ないがしょうがない。

 アタシはサラダが食べたいとは思いつつも諦めて出されたご飯を口にする。


 因みにパン2ゴルドと骨付き肉3ゴルドでで5ゴルドとメニュー表に書いてあった。

 サラダは2ゴルドなので黒パンの代わりに注文してくれと次からは頼むのもいいかもしれないと思った。


 ご飯を食べ終え、暇を持て余すこと数時間。

 この間、少しだけ仮眠を取ったので時間は曖昧だ。

 誰かがバンダナイワシ団に話し掛けているのに気づいた。

 

 話し合いが終わったのか、騎士っぽい見た目の誰かさんにイワシ団は付いていくらしい。


「いくぞ!」


 酒を飲み足りない男連中は不承不承ながら、団長命令で腰を上げる。アタシも無言で付き従う。


 歩く事10分。

 中央大通りを真っ直ぐ中心に向かって足を運ぶとひと際大きな建物が見えた。鉄柵に囲われたものすごく大きな家だ。

 誰がこんな大きな家に住んでいるのか。


 そんな奴は貴族以外にはいないだろう。

 門衛は二人。騎士っぽい人達が警護している。

 中に案内されると、見たことないおっさんと冒険者ギルドの受付嬢の組み合わせと、見たことない姐御と傭兵ギルドの職員の男が立っている。他にもあとは執事バトラー女中メイドといった連中に騎士がいる。


 どうやら入ってすぐの広間にて下々の者達は集められたらしい。役者がそろったのを見計らって、一際身なりの良い怜悧な整った顔の30代男が現れた。

 全体を見渡すように二階へと続く階段の中程で立ち止まり、話始める。


「貴殿らにもたらされた情報を基に斥候を出した。その結果、50以上の大量の豚鬼を確認した。明日!冒険者、傭兵、騎士の諸君は集められるだけの兵をドリトル森の南に戦力を集結させよ。これは我、ザックロール子爵直々の命令である。招集に応じなかった者は斬首とする。危険指定されている魔物を発見したとして、冒険者には金貨を渡す。ギルドを通じて受け取られよ。此度の戦果次第では、我がザックロール子爵家が取り立てる。」


 ザックロールは子爵家か。

 大したことないな。

 男爵とか準貴族家、騎士爵家しか下にいない下から数えた方が早い弱小のくせに。

 ライトノベルで手に入れている前世知識が使えるアタシの手に掛かればその位のことは知っているというもの。


 この程度の小物でも生活水準は高そう。

 貴族ってだけで気に入らない。


 庶民はボロを着て、あくせく働いているというのに。

 

「それでは、解散。」


 イワシ団は数の多さに驚いているようだ。

 事前に伝えていたギルド連中の方が落ち着いている。

 寧ろ、此方が驚いていることに困惑や訝しんでいる者もいる。


 まあ、知った事ではない。

 解散命令が出ているのだ。

 イワシ団もギルド連中に続いて、屋敷を出た。

 


「先ほどは随分驚かれている様子でしたが、どうしてです?そもそも最初は20と報告し、すぐ後に最低52と訂正があったようですが?そこの戦闘奴隷とは情報は共有されていないので?」


 冒険者側の男が子爵邸を出た後、イワシ(仮)に問いただしている。

 イワシは驚きから憤怒に表情を変え、此方を睨んでいるが知った事ではない。

 

「ウチの方でも似たような報告の仕方があったそうだよ。年端もいかない嬢ちゃんの戯言かもしれないと思って無視するよう指示したんだが、20じゃなくて52が正しいっぽいじゃないか?お宅らの情報はどうなってんだい?」


 傭兵団組の姐御もアタシを買い取った団のリーダーイワシ(仮名)に追撃する。


「俺ぁ、そんな事そもそも聞いてねぇ!どうなってんだ、ガガ!!!」

 

「へ、へい!!ふ、二人で斥候に出て、豚共を見つけた時は……確かに20程だったと記憶してるんですが……。」

 

 イワシ、冒険者ギルド、傭兵団ギルドに説明しろと問われ、たじろぎながらも斥候おじさんのガガは抗弁した。


「持ち込んだ情報の確度がそのおっさんより、戦闘奴隷ちゃんの方が優秀で正しい事は明白だね。弟子入りでもしたらどうだい?くくく、もしよかったら傭兵ギルドで働くかい、戦闘奴隷ちゃん?」


 それ以上煽らねえでくだせえ。

 アタシの身の上考えて欲しいもんです。

 

「20万ゴルドで買われた身ですが、ギーズ様等に払えますか?」


 解放してもらわないと傭兵ギルドで働くとか無理だかんね。

 割高だし無理だろうけど傭兵ギルドの姐御に訊いてみる。

 

「そりゃちょっと高いが……うん、払おう。」


 おお?使い潰す気満々の屑集団から傭兵ギルドの姐御に雇用主をランクアップするチャンスきた?


「おいおい、勝手に話進めんじゃねえぞ。こいつが20万ゴルド分の仕事をして自分を買い戻すってんならいいが、他人に取られるのに同じ額ってのは割に合わねえ。主人は俺達だ。取引する相手間違えんじゃねえ。どうやらこいつは使えるらしいしな?買い取るなら40万ゴルドだ。」


 まあ間違ってはないんだけど、お前らそれは吹っ掛けすぎだろう。ふざけてる。

 イワシの後で団員達がニヤニヤして様子を窺っている。

 売れれば通常の奴隷価格だと四人分。

 アタシと同じ額で買っても二人分の資金が得られる。

 売れなくても斥候おじさんより優秀なのに、給料は当分要らない。今回のを一回分の仕事にしたとしてもあと十九回はタダ働きさせられるわけだ。

 

 どちらに転んでも美味しいのだろう。

 だから、吹っ掛けたのだ。

 (伊達にイワシ顔してないな。)

 伊達にの意味が解らんが。

 

 アタシが一人ボケツッコミをして、現実逃避をしていると冒険者ギルド側の男が割り込んできた。


「ほう?傭兵ギルドが渋るのであれば、40万ゴルドは此方が払おうか」


 第三勢力が払ってくれるのか?

 こちとら雇い主がこいつ等でなければ地道でも、頑張って払いますよ。でも40万だと40回はこなさないといけないだろうから死ぬ可能性がぐんと上がるけど。


「どうすんだ?」


「流石に40は出せないね。悪いけど、アタシは降りるよ。」


「じゃ、この子は冒険者ギルド預かりという事で。報酬と一緒に受付で渡そう。」


『よっしゃあ!』


 吹っ掛けたのに買ってくれるということで、イワシ団は大盛り上がりだ。

 あまりにも早い奴隷譲渡に、奴隷商のおじさんも驚いていた。


「いいんですか?」


 冒険者ギルドのおじさんに奴隷契約が移譲されたのを確認してから尋ねた。

 この場にはもうイワシ団の奴等は一人もいない。いるのは冒険者ギルドのおじさんに受付嬢だけだ。


「あ。言い忘れてたけど、俺は冒険者ギルドのギルドマスターだから。よろしく。まあ、40万ゴルド分の仕事をしてもらえばいいだけだしね。それに奴等はどうせこの戦いで死ぬだろうよ。」


 ギルマスは他人の死でも予知できるのだろうか。

 随分不吉な事を言う。


「経済はお金を使ってくれる人がいるから回るのです。ギルドで溜め込んでいても仕方ないです。手にしたお金で装備を買うなら鍛冶屋が儲かりますし、酒を飲むなら酒場も酒屋も儲かります。使わずにこの領からとんずらすることは出来ませんし。負傷してでも生き残ればポーションなどが売れます。錬金術師の懐が潤えば、新たな材料を求めて冒険者ギルドに買い付けしにくるでしょう。そうなれば結局、巡り巡って彼等が手に入れたお金は全て回収できるんですよ。」


 恐ろしい。

 ただの受付嬢だと思っていたけど、恐ろしい子だったか。


「そう。」


 ま、もうどうでもいいか。

 あっという間に雇い主が変わったが。


「それで、どうやって豚鬼オークを前にして斥候職の男より情報を集めた。」


 まあ気になるよね。

 アタシは偶々この領地の南の庶民区にいたことから話した。

 三年かけて、《スキル》を生やし安全地帯を作り続けたから、中域にも身を隠す為の安全地帯があると。そしてこれは結構危ない橋ではあったが深域にも二箇所安全地帯を作ることで左右の地点から豚鬼を確認することが出来たと伝えた。


「すごいな。《穴掘り》をそのように活用するか。大人では厳しいが…子どもの身を隠すにはうってつけのスキルか。」


 ギルマスはアタシの丈を見て、そう結論付けた。

 

 アタシは冒険者ギルドに併設されている使用人ワーカーの部屋を一つ割り当てられた。場所は受付の裏口—―職員専用扉の先にある。

 簡素なベッドと小タンスが一つ。

 小部屋だが個室だ。ここを生活拠点に使っていいらしい。

 ボロ屋から酒場の床で仮眠を強いられていた身分としては破格のランクアップである。


 そして立場としては戦闘奴隷兼冒険者組合ギルドの使用人らしい。

 ありがたい限りだ。

 冒険者ギルドのギルマスは恩人として崇めようと思う。

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