二度あるわんチャンは三度ある
鹿角さんは僕の腕を引いたまま部屋に入った。いたずらに笑いながら呂律の回らない言葉を繰り返して一つしかないベッドに座った。
「大丈夫ですか?」
「そうみへます?」
「全然、まったく」
彼女は僕の返答に笑って応える。人前では決して見せることない無防備な表情は男としてそそるものがあった。
「本当はずっとこうして二人で話をしたかったんれすよ」
「どうして?」
「だって立花さんだけだったから、私のこと考えを尊重してくれた人」
「そんなことないと思うよ、みんな鹿角さんのこと頑張ってるって評価してる」
「頑張ってるかぁ~学生時代からずっと同じ評価ばっかだもん」
急に声のトーンを落として鹿角さんは僕の身体に体重を預けてきた。
アルコールの匂いと微かに匂うフローラルの香りがまざって、思わず理性が飛びそうになる。
「お店でも話したけど私ってどんなに頑張っても一番になったことないんです。だから……」
彼女の体重がすべて僕の身体にのしかかってくる。
「今夜だけは立花さんの一番にしてくれませんか?」
こんな風に押し倒されたのは初めてだった。
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