彼女とプレゼン
「以上のことから泌尿器分野の営業拡販はわが社の……」
控室から聞こえてくる他のチームのプレゼンを眺めていると各支社のレベルの高さがうかがえる。
しかしながら、ここまで来る代表メンバーのほとんどが中堅社員で、役職もちがほとんどだ。
そんな中でよく僕たち、主に鹿角さんはここまで勝ち上がってきたなと感心する。
「なにか?」
「いえ」
「集中してください。次が私たちなのですから」
横目でちらちら見ていると注意をされる。しかし鹿角さんの表情はかたい。
いつもの二倍くらい仏頂面で僕は思わず笑ってしまう。
「なんですか?」
「いえ、別に」
訝し気に鹿角さんが僕の顔を覗き込もうとする。
「北海道本社札幌支局営業五課のみなさんありがとうございました。続きましては東京本社、日比谷支局、営業三課の発表になります」
場内のアナウンスがそでに聞こえる。僕は深呼吸をしている鹿角さんに軽く会釈して、
「よろしいお願いします。がんばりましょうね」
「当然です」
彼女は不自然なほど甲高い声でそう答えた。
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