おっぱいは気から
国際通りを闊歩してみつけた漫画喫茶は東京でもよく目にするお店で入店して以外にも清潔だったことに驚いた。
前の会社に勤めていた頃はよく使っていたからすっかりポイントがたまってしまいおかげでいろんなサービスを受けられるようになっていた。
沖縄まで来て悲しい既視感を受け入れながらパソコンを立ち上げる。
社用のスマホが鳴った。
液晶画面には自分の名前が表示され、僕は少し頬を緩めながらスワイプする。
「よしくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅん」
「うわっ、なんですか」
電話の向こうでわかばさんの悲痛な声が聞こえる。
「なんですかじゃないよ、きみいつになったら帰ってくるだぁい」
「いつになったらって……僕出張に行ったばかりなのですが」
「お腹すいたんだよー」
「お腹すいたって、三日分くらい作りおきしておいたじゃないですか」
「そんなもん今日の昼にはなくなった」
「ぺ、ペース配分」
「頼むよぉ、早く帰ってきておくれよぉ。愛しのわかばさんが餓死してもいいのかい?」
「はぁ……お金、玄関の小物入れに入れておきました。それで買出しいってください」
「えぇえ! きみはこの私に一人で外に出ろというのかい!?」
鳩が豆鉄砲を食ったように驚くわかばさんに僕は呆れを通り越して声を出して笑ってしまう。
「じゃなきゃどう飯を食うんですか?」
「私にはいろいろとやることあってだね」
「一日中グータラしてるんだから、たまには外に出てください。じゃあ切りますよ。そっちのスマホかけ放題入ってないんで」
「ちょっと待ちたまえ! まだ話は終わってないよ!」
「じゃあちょっとだけですよ」
「うむ。お土産のことなんだがねぇ」
「あぁはい、なんでも好きなもの買ってきますよ。なにが欲しいんです? 候補を上げてください」
僕の質問にわかばさんはうーんと唸ってから軽く笑い、
「まぁいろいろあるが、強いて候補を上げるとすれば、修学旅行で買えなかったゴーヤの形状をしたコンドー……」
僕は強引に通話を切ると背伸びをして寝ころんだ。
天井がやけに近く見える。
もう鹿角さんは眠ってしまったかな。
シャワーが空くのを待ちながら僕は明日のプレゼンが終わってからの行動を考えていた。
わかばさんにどんなお土産を買ってこうか、自分なりに選んでみようと思った。
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