でかいおっぱいには揉まれろ

 月曜日は何よりも憂鬱な日。その前の休日が充実していればいるほど気分が乗らないが、以前の僕ならば毎日が憂鬱で明日なんかこなければいいと本気で思っていた。


 朝が恨めしく感じて、夜が鬱陶しく思える。


 玄関のドアノブを握れば、吐き気がするほどで回すまでの動作に永遠を感じてしまうほどだった。


 しかし、今はちょっと違う。


「今日も適当に仕事して、余力を残して帰ってくるんだよ、きみには私の面倒を見るという何よりも大切な仕事があるんだから」


 そう言って見送られ、あっという間に仕事が終わり、電車に揺られながら今夜の献立を考えている。


「今日はスーパーの特売日だ。寒いから鍋でいいよ」


 思い出したように言っていたわかばさんのにやけ顔が思い出される。


 そう言えば鞄にはそのチラシが入っていて、忘れたら何を言われるか想像するだけで笑えてくる。


「今日はカレーでもいい?」


「うん、カレー大好き」


 スーパーの入り口で、はしゃぐ子供に相槌を打つ母親の声が聞こえる。


 ビルが立ち並ぶ街からやってきた風がビニール袋をぶら下げた身体を強く叩くが、家路までの道のりは変わらないで、自転車でどこかへ向かう中学生とすれ違うたびに前へ向かう歩幅が広くなっていた。


「ただいま」


「おかえりなさい、なんだい今日は早いじゃないか」


「早く帰ってこいと言ったのはわかばさんでしょう」


「そうだったかねぇ」


 彼女はぼんやりと返し、


「それじゃあ、早く夕飯をつくってくれたまえよ、メニューはなんだい?」


「カレー鍋でもいいですか?」


「うむ、カレーは大好きだ」




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