おっぱい隠さず尻も隠さず
「ちょっと焦げてるねぇ」
大欠伸をしながらおぼつかない口ぶりでそう言った。
わかばさんのリクエストしたハムエッグは、焦げ目がついていて、僕としたことが精彩をかいてしまった。
「芳くん、私は半熟が好きなんだ。これ硬すぎじゃないかい?」
「……作り直した方がよいですか?」
「いいや、ありがたくいただくとしよう。私は食品ロスについて真剣に考えていてねぇ、考えれば考えるほど朝も起きれないほどだよ、それに私は環境に優しい人間なんだ」
「朝は起きてくださいよ、それに地球に優しくするなら僕にも優しくしてほしいですが」
嘆くように言うとわかばさんはハムをくわえたままこちらに首を傾ける。ハムを半分のところで噛み切って、もう半分は皿の上に落ちた。
もきゅもきゅと音を立てながら飲み込むと目を丸くして、
「えっ……私きみに優しいだろ?」
たしかにそう言った。
「……一応聞きますがどのへんが?」
「おっぱい触らせてあげてるじゃないか」
「いや、言い方……でも最近無理やり触らせてきてません?」
そうなのだ。わかばさんは自らのおっぱいを僕に触らせ揉まれることで自分のわがままを通してきた。しかし、最近は僕からおっぱいを触りたいなんて言ってない。だから本来はわかばさんの言うことを聞かなくてもいいはずなのだが。
「わびさびもないことを言うねぇ、ほっぺに『おっぱいを揉みたい』って書いてあるじゃないか」
「えっ、そんなあからさまな顔してますか?」
「はいへあふよ」
自分の頬を触りながら尋ねるとわかばさんは残りのハムを口に運び、咀嚼を繰り返しながら言った。
「仕方ないねぇ、きみはおっぱい星人だから、今回は私が大人になってあげよう。朝ごはんも食べてお腹も良くなったしご褒美をあげようじゃないか」
身体を向きなおして、ぺたん座りになったわかばさんは両手を広げる。
「そうは問屋が卸しませんよ、そうやって無理やり僕を誘惑して自分のペースに持っていくつもりでしょう」
「おやおや、おっぱいに関してはざこざこなくせにしぶといねぇ、でも
いつまでやせ我慢できるだろうね」
勝ち誇った顔でそう言って、わかばさんはポケットから小瓶を取り出した。
目の前にぶら下がったそれは香水のような容器で中には無色透明な怪しげな液体が入ってる。
「えい」
わかばさんは僕の顔目掛けて香水をプッシュする。霧状に散布した水滴が顔にかかった。しかし不思議なことになんの香りもしない。そのかわり、目覚めたばかりでまだダル重い身体が、くすぐったくなるくらい熱くなるのを感じる。
僕はこの状態に恐怖を覚えた。
「なんすか、それ」
「これかい、これはね……」
にやにやしながら焦らしたあとに彼女はとんでもないことを口走る。
「芳くんがせっせと仕事に行っているうちに、数々の香水を調合し作り上げた、スーパーミラクル媚薬香水、ππ一号だ。まだ試薬段階だけどどぉだい今の気持ちは?」
正直、わかばさんの説明なんてこれっぽちも耳に入らない。だって目の前にいるわかばさんがでっかいおっぱいにしか見えないんだから。
「ふふふ、声もでないほど私に魅了されているようだねぇ、しょうがないねぇおっぱいざこざこ星人な芳くんに……あれ芳くん、顔怖いんだが」
そこから僕の記憶はあんまり残ってない。ただ本能の赴くままにわかばさんの胸にダイブした。
「」
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