第2話 よくある相続問題。殺っとく?

 本日もテキトウに二話目を追加。

 忙しいのに何をしてるんだろう自分(´・ω・`)

 他の更新をしたらええのに、えぇその通りなんですが。

 どうしたものか、どうでもいい話の方が楽に書けるんですにゃぁ。


 ***


 さて、長期の殺人計画を実行中の継母アネット。

 記憶の限り、特段の軋轢は無いと思う。

 しかし、インストールされたのが銭ゲバ脳の私。

 今一度、現状を洗い直す必要を感じました。

 いくら数年後にヒットする呪いだとしても、この三点セットはいけません。


『いちおう、すていたすにはえいきょうないよ。

 ただし、ちょっとだけしこうがくろくなるかも。

 でも、るいるいはもともと、まっくろくろすけなので、もーまんたい』


 なんでしょう、古き善きお笑いのようなコメントですね。

 でも、今影響なくても、呪いの品をご令嬢が肌見放さず付けているのはいけません。

 それもデザインがクソダサですし。

 そう全部、何だかおばあちゃん臭いのです。

 これが心からの贈り物である場合、報復しなきゃ、そうしなきゃ、うぇい!

 礼儀として復讐しなきゃ、そうしなきゃ、いぇい!


『(≧∇≦)/うぇい、いぇい!』


 私にしか見えない小さなステータス画面の中で、顔文字が浮かびます。

 視界の右上に常に表示されていますが、本来、このような機能はありません。

 どうやら天魔くんの鑑定が常時発動し影響しているようです。

 これからは独り言じゃなくて、天魔くんがツッコミを担当してくれそうです。

 やったぁ寂しくないぞぅ。

 ますます、属性が増えました。

 脳内幻オーディエンスに魔物憑き。

 やはり呪術師か悪魔召喚士になるしかありません。

 そこは魔法少女じゃないのか?

 無理ですね、頭パーンだそうですし。

 ギャラリーの正気度狂気抵抗度を減らす自滅技とか、そんなお笑いな死に様は嫌ですしおすし。

 で、そんな私。

 ジャパニーズ薩摩ソウルは、根切抹殺じゃぁちぇすとぉ!と叫んでおります。

 転生してやっと楽しくなってきました。

 やはり私がインストールされただけありますね。

 汚物は消毒しなきゃいけませんもの。

 子供を殺そうとする屑は土の下に埋めなきゃ、早くナイナイしなきゃ。

 このわたくしが顕現したのですから、もう、ルイーズたんは、ただで殺されはしませんことよ。


 このるいるいを殺すですって、冗談にもなりませんわよ。

 えぇえぇそんな考えをおこしたことを、心底後悔させてやりましょう、そうしましょう。

 わくわくですね。


(≧∇≦)/こうかんどアップ


 私、だてに実の親と親族から保険金殺人を仕掛けられたり、婚約者との刃傷沙汰をくぐり抜けてきたわけではありません。

 目には目を歯には歯を。

 えぇどうも奴を切り刻んだ過去もうっすら思い出してきました。

 あのゴミクズが死んでいないのが心残りですね。

 あとあのアバズレ、人のマンションで風呂なんぞ入りやがって、あのゴミクズの財産じゃないんだよ。

 不法侵入と窃盗容疑で警察に突き出してやったが、元気でしょうか?

 素っ裸で外通路に転がしたのですが、仕事は続けていますか?

 もちろん、泥棒を追い出しましたと警察を呼びましたが、事実ですしね。

 社会的に叩き潰す事に全力を注ぎましたし、荷物も全部、勤め先に送らせていただきましたが、裁判はまだ途中でしたね。

 もしかしたら、親族に殺された可能性より、あのゴミクズ二人に殺された可能性も微レ存?

 まぁ転生したのですから、今生のトラブルに対処しなければなりません。

 やはり呪術師になるべきでしょうか?


『るいるいは、もう、ぼくっちすきるもってるしねぇ。

 じゅじゅつしになるならぁ、ぼくっちとけいやくしてほしいのぉ。

 ほかのせいれいとか、あいつら、いいやつのふりだけだしぃ』


 精霊もいるのですね。

 でも、そうなると呪術師ではなく、やはり悪魔召喚士Devil summoner、素敵っ!


『しえきすきるを、はやそうよぅ』


 しえき..使役ですって(゚∀゚)Trévian!


 それは置いておいて、今日は寝込んでから5日目、やっと熱が下がってきました。

 侍女は相変わらずいませんね。

 子供がひとり寝込み、飲食を運んで置いていく召使いが一人。

 放置ですね。

 その食べ物は、堅パンと塩スープです。

 これが病人食という可能性もありますが、鮮度と量を見ても、公爵令嬢の食事ではありません。

 そして庶民の共働き家庭ならまだしも、ご令嬢に着替えの付き添い一人いないというのはどういうことでしょうか?

 医者が呼ばれたのが奇跡ですね。

 いえ、奇跡ではないのでしょう。

 私は数年後に死ぬのであって、今、死なれては困るという事でしょうか?

 ふむ、この堅パン。

 おたふく風邪の痛みに対する嫌がらせでしょうか。

 さて、私の今生の家族構成も前世と同じくゴミクズの可能性が出てきました。

 まぁそうでなければ、この私の記憶が蘇る訳もありません。

 これもまたテンプレですが、現状の打開の為に私がインストールされたという訳です。

 ですが、攻撃力、かたつむり。

 銭の力も、子供の現在どうしようもありません。

 しかし、ここで挫けては死あるのみ。

 私、殺されるなら、相手も巻き込む自爆型ですの。

 どうせなら、私が受ける苦痛を倍以上に返したい所存。


『るいるいはぁ、るいーずとはチガう、ねぇ。

 たま、魂ぃ、てきには、同じはずなのにぃ』


 人間も環境次第という事ですよ、天魔くん。

 では、現状把握と行きましょう。


 塩気の効いたパサパサの堅パンを齧りながら、部屋の中を見回す。

 清潔ですね。

 掃除は入っていますし、公爵令嬢らしい部屋です。

 ただし、生活感はゼロです。

 子供らしいしなが無く、服も別部屋にあるそうですし、水差しに至るまで、そっけない感じです。

 そういうものなのでしょうか?

 この世界の子供の部屋というものをしりませんが、空き部屋のようです。

 寝台があり、分厚いカーテンの下がる大きな硝子扉があり、絨毯も豪華ですが、何も無いのです。

 侍女や乳母やの控えの部屋らしき扉があります。

 寝台からおりて、やわらかな室内履きに履き替える。

 室内履きも子供用の大きさですが、どこか借り物のようですね。

 それを履いて、控えの扉を明けてみます。

 まぁ予想どうりですね。

 誰もいませんし、家具さえありません。

 埃はありませんから、使われていないだけでしょう。

 そこの窓からは、美しい緑が見えます。

 茂る緑の木立を見るに、ここは北西側の裏庭という感じですね。

 建物は立派ですが、ここは使われていない建物なのかもしれません。

 もしかしたら、病人だからと、離れにでも入れられたのでしょうか。


 まぁそんな扱いなのですね。


 では、十一歳三ヶ月の記憶をひっぱりだしてみましょう。

 あらまぁ、父親と会話した記憶がありません。

 母親は死んでいるようで、後妻のアネットが四つの冬に来たのを覚えていました。

 中々友好的な雰囲気です。

 後妻にしては年も若く、見た目も大変な美人です。

 ですが、考えてみれば、公爵の後妻は大変美味しい場所です。

 それに父親は黒髪のイケメンです。

 中年手前のイケオジですね。

 一番嫌いなタイプです。

 俺様、何様、クソ野郎様ですね。

 自己肥大した自我の所為で、女を下に見たがるモラハラ臭がプンプンします。

 えっ、偏見だろ?


 自分の子供を放置している時点で、此奴はクソだと思うのですが?

 そして多分、アネットが継子憎しで呪いの三点セットを送っているようなら、簡単な話です。

 ですが、多くがこうした殺人計画に、肉親が関わっていない事はありえないのです。

 大丈夫ですよ、私、前世でも実の親に殺されかけましたから。

 それとも殺された結果、転生しているのかもしれません。

 それにルイーズたん自身の感情は受け継がれていないようです。

 考えや気持ちの部分は、まったく覚えていないのですよ。

 さて、アネットは、私の母親よりも下の爵位の男爵令嬢のようですね。

 穿った見かたをすれば、元々の愛妾の立場だったのを、夫人の死後に穴埋めの為に嫁いだ可能性もあります。

 そしてなにより、子供のルイーズには、当初、乳母も侍女もついていたという記憶です。

 何だか、モヤッとします。

 どうも父親の事を思い浮かべると、不愉快な気分です。

 少し考えてみましょう。

 今までのルイーズはどうやら、のほほんとした穏やかな子供だったようです。

 それでもろくろく接触のない父親に親しみはない上に、なんというか不穏な気配。



「すてたす、おぷん」


 堅パンによる攻撃で、今回もお口が云うことをききませんでした。


「てんまくん、てんまくん。教えてちょだい」


 疑問をステータス、もとい守護悪魔に聞いてみることにしました。


『なに、るいるい』


 今まで突っ込みませんでしたが、るいるい、と、いうのは私の愛称でしょうか?


『名前よぶの、だめだよ。愛称で十分、異界の者に名乗るのは不利益』


 おっ、ひらがなだけから、進化しましたね。

 というか、相変わらず悪魔にしてはお優しい。


『ぼくっちにも、事情があるのさ。

 言葉がはっきりしてきたのは、回線、るいるいの意識がはっきりしてきたからだよ。で、質問は?』


 無料提供、一般的知識で回答よろ。

 で、私の想像があってるかどうかだけ、お返事ください。


『わかった』


 父親はヘルベルトを名乗っているけど、実際は代行かしら?


『どうしてわかったの?』


 自惚れた自尊心の強い男を婿に迎えたのが、ルイーズたんの母親かなぁってね。


『正解』


 でも、母親は嫁に来たような話の記憶がある。


『養子だよ、君の母親はヘルベルトの娘になった。』


 ヘルベルトが養子を迎えた経緯は?


『ヘルベルト前公爵とアシュトン前伯爵は兄弟だ。

 ヘルベルトに子供がいなかった為の、弟の末娘であるルイーズの母親が養子に迎えられた。それから君の父親が能力を買われて婿になった。』


 あ〜そういう事ねぇ。

 相続財産が自由になる年齢の一年前に呪い発動で、あってる?


『うん』


 成人前で死んだ場合、その財産の受取人は、もしかして、いない?


『うん』


 けれど裏技か力技で、私の相続財産を奪う方法がある?


『うん』


 何の血の繋がりもない父親がヘルベルトの椅子に座るつもりだと?


『うん』


 私には母方の伯爵家の財産もあったり?


『うん、ルイーズの母親の兄達も戦死しているからね』


 わぁ銭の力が凄すぎる件。

 そりゃぁ父親と後妻が目の色変えるよなぁ。

 現状、殺されそうなんだが、私の後見人は父親以外は、死んでる?


『うん、死んでいるし、遠ざけられているね』


 え〜っと、父親には相続権は無く、娘の私が相続人。

 相続人を見守る後見の立場の者達が不在、もしくは死んで排除されている。

 どうやら力技で私の代わりに、この夫婦は財産やら何やらを手に入れる方法があると。

 なんとなく、政治的意図がありそう。

 ただし餓死や殺害、誘拐、事故死をとる事ができない。

 故に呪いか?

 迂遠だけれど、これは又。


『るいるい、アネット殺す?』


 いや、殺すのは簡単なのよ。

 人間、子供相手だと隙がでるから、ちょっと大理石の階段を踏み外す事もある訳でね。

 問題は、アネットママ上ではないのだよ、天魔くん。


『るいるいって、ナチュラルに殺るタイプなの?』


 人聞きの悪い事を。

 自分の手を汚さずとも、事故は起きるって事ですよ。


(^o^)


 ブラボー?

 悪魔的に良い冗談だったようです。

 それはさておき、この相続問題は、そもそも暮らしている国の政治的な事柄もからんでそうかなぁ。


『うん、中々冴えてるね。じゃぁおまけ。

 君が死んで宙に浮いたヘルベルト公爵とアシュトン伯爵の財産と所領は、現在の国王が君の父親に再配布する事ができる。普通は無理筋だけど、ね。

 君の父親は、現国王派だ。

 そして君は、現国王の兄である正当な後継者を支持していた公爵と伯爵の唯一の生き残りの血筋だ。

 君に天魔をつけたのも、死んだアシュトン伯爵、君の母方の祖父の力だね。』


 おぅヘビー。

 ちなみに爺ちゃんは、誰に殺られたん?


『僕っちはね、約束って一番大切だと思うんだよね。

 でさぁ、君の父親はね、アシュトン坊やに嘘をついた。

 嘘をついて、坊やは死んだ。

 たとえ誰が手を下したとしても、原因はヘルベルトを名乗るあの男だ。

 僕っちはね、そういう嘘つきが一番嫌いなんだ。

 るいるいは、どう思う?』


 嘘についてかしら?

 ルイーズの父親についてかしら?

 私的には、ルイーズの父親を知らないし、この私を殺そうとするなら、拷問の末に公開処刑してもいいと思うわよ。

 それに天魔くんは、その馬鹿な男の娘は嫌いじゃないの?


『君の父親はヘルベルトの縁戚からの養子となっているが、実際は平民でどこの馬の骨とも知れぬ輩だ。

 財多く歴史の古い貴族であるヘルベルトや、僕っちを含めて多くの魔を使役できる、強大な魔力を有するアシュトン伯爵一族を受け継ぐには、役不足すぎる。

 そのは称賛するけどね。

 まぁ相続に挑戦してもいいとは思うよ。

 ね。

 僕っちやアシュトンの領兵団にいる頭のオカシイ人間からしたら、冗談にもならないしぃ。

 無事に継承できるつもりと思っているなら、大爆笑さ。

 その点、君はアシュトン坊やの娘の子だ。正真正銘のね。

 だって、僕っちが君の側にいるんだもの」


 それだけ、で、いいの?


『そうだよ、るいるいならわかるよね。

 君の前世の記憶からするとさぁ〜こんな感じぃ?

 一生懸命つくりあげた会社を、何の実績もない経営もしたことがないような奴に乗っ取られて、そこの社員が気持ちよく働けると思う?

 お給料も下げらて、前任の尊敬する社長をボロクソに言う奴をさ、支えていけると思う?

 それで気分良く働けると思うかい?

 それに会社でもないし、主に仕える者どもってのは、所謂、前世の君の国いた侍みたいなものなのさ。

 平和な時代が長く続いていれば、君の父親みたいな考え方もうけいれられるかもしれない。けどね、ここはずっとずっと野蛮な世界なんだ。


 異界の者がいる。

 魔のモノもいる。

 巨大な未知の生き物。

 謎に満ちた地下迷宮。

 死者の世界。

 神のような何か。

 君が知る幻想世界が、そのままここにのさ。

 そこに生きる人間は最底辺の生物だ。

 君が生きてきた世界ってさ、人間が頂点にいて、あらゆる生き物を滅亡させてきた。

 とてもそれは人間にとって、都合の良いだよね。

 けど、ここはね、思っているよりも、人間は弱いのさ。

 魔法?

 人外のような位階の英雄?

 ふふふっ。


 そんな設定は、子供の絵本の中のお話さ。

 真っ当な大人なら、理不尽な相手と対峙してきた者達には、笑えもしない戯言だ。


 この世界で、血こそ貴族の血統が、ギフトなんだ。

 受け継がれる、力。

 弱い弱い人間が、生き残ってきた末に手に入れた力なのさ。

 それを忘れるほど、平らかな場所で生きてきた間抜けにはわからない。

 血筋だけの子供に、何ができる?なんて言い出す。

 だが、この世界で生き残ろうと戦って傷ついてきた者ほど知っている。

 才能?

 突然変異なんて、早々出てこないし、その前に死んじゃうんだよ。

 この世界の絶対的なルールなのさ。

 何しろ、神も魔もいるからねぇ。

 その血筋がどんな愚か者でも、生き残る手段になるなら民も認めるになれるのさ。

 だからね主家の血筋を殺す奴は、この世界の戦う者にとっては裏切り者なんだ。

 ルニング殿下に従う者は増える事はあっても減らない。

 僕っちが言うことじゃないけどね。

 だから、僕っち、応援するのさ。

 がんばれぇ〜るいるいぃ〜君なら封建領主になれるよぅ。

 ぜひ愚民を率いて、圧政をしいてほしいなぁ。

 君はとは違うって期待してるよぅ』


 そう言われてもねぇ、私、自分の為に生きる所存ですの。


『それでいいよ』


 自分の為ですのよ、ルイーズたんの父親や継母と同じでしょう?


(*´ω`*)


 何でしょう、そのてれ顔は。


『いやぁるいるいって、自分をマトモとか思ってるんだぁ、微笑ましぃなぁって』


 悪魔からディスられてる気がします。

 失礼ですね。


『あのねーそれでねー僕っちねー。

 君の父親が嫌いなんだぁー。

 殺る時はぁ、僕っちを使って欲しいなぁ。

 そうしてくれたら、割引価格とサービスクーポンつけちゃうよ、るいるい。

 三つのお願い以外にも、格安でお願い聞いちゃうよぅ』


 なるほどね。

 元々の使役者は爺ちゃんだったか。

 理解した。

 まぁ、あれだ。

 ちょっと世の中をリサーチしてから、色々決めたほうが良さそうだ。


 ちなみに、生贄や対価は、私自身じゃなくてもオッケー?

 例えば、私の財産って認められてるモノとか?

 後は、ヘルベルトとアシュトンの子である、私を害そうとする芥虫どもとか?


『るいるいはぁ、アシュトンの坊やそっくりだね。

 ふふっ、いいねぇ、いいねぇ。

 さっそくパパ上、殺りにいこうよぅ。

 寝返った奴らも、いっしょに燃やそう、いぇい』


 ステイ、まだ、ステイ。

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